文明が間違っている

人間は五、六千年の間、間違い続けてきたのです。人間は五、六千年間何を考えてきたのかと言いますと、肉の思いだけで生きてきたのです。肉の思いという言い方は聖書独特の言葉ですが、目に見える現象があると考え、自我意識を持った自分が本当の自分であるという考え方を、肉の思いというのです。

　パウロは「肉の思いは死である」と言っていますが（ローマ人の手紙８・６）、人間は肉の思いで生きてきたのです。その結果、人間は六千年の間、死に続けてきたのです。

　ちょっと考えますと、人間は五、六千年の間生き続けてきたと思えるのですが、実体的に言いますと、死に続けてきたのです。

　人間は生き続けていないのです。生きるということは、生きる実を結んでいたかどうかです。人間が生きてきたことについて、確実な実を結ぶことができていたとしたら、生きてきたと言えるでしょう。

　人間の文明は実を結んでいないのです。全く実を結んでいないのです。例えば、共産主義というものがそれです。共産主義は一種の宗教です。教義を信じるのです。教義を信じることが宗教であることを証明しているのです。

　人間の常識というものも宗教です。これが肉の思いです。肉の思いは宗教です。肉の思いは死であって、これは死んでいくための宗教です。

　人間の肉の思いは目的を持っていないのです。現世の生活のアクセサリーのようなものです。現世の生活に何か意味のようなものを与えているのが、肉の思いです。唯物史観もその一つです。

　人間の哲学、人間の世界観、価値観は、全部宗教です。皆様が今まで信じてきた常識、学問は皆宗教です。これははっきりした目的を持っていないのです。

　人間の思いは皆肉の思いです。肉の思いで生きている人間は、死んでいくために生きているようなものです。文明は何か実を結んだのでしょうか。永遠の命と言えるような実を結んだのかと言いますと、全く結んでいないのです。

　人間歴史の中で実を結んだのはただ一つ、イエスの復活だけです、イエスは死を破って復活した。永遠の命があることを実証したのです。これだけです。この他に信じられるものは何もないのです。

　共産主義は唯物史観を信じたら永遠に進展発展するもののように考えてきた。ところが、ソ連は崩壊したのです。東欧諸国の共産主義国も崩壊したのです。人間の思想はそんなものです。

　物があると考えることが宗教です。理論物理学の概念では、物質は存在しないことを証明しているのです。唯物史観は物質が存在するということを踏まえて成立しているのですが、理論物理学は物質は存在しないと言っているのです。核兵器が製造されたことが、物質がないことを証明したのです。

　自然科学も一つの宗教です。物があるというのも宗教です。物がないというのも宗教です。こういうばかな事を言っているのです。だから、人間は地団太を踏んで死んでいくしかないのです。

　人間は命の実体を全く捉えていないのです。命が全然分かっていないのです。だから、宗教を否定する所から出発した共産主義が、宗教を信じるという逆転をしているのです。

　共産主義の虚しさは、人間文明六千年の虚しさをそのまま証明しているのです。

　肉の思いは死です。人間が肉体的に生きていると考えていることが死です。

　本当の神とは何か。人間は何のために生きているのか。宗教を信じてどうなるのか。人間の文明には目的がないのです。マルクスは自由の王国を実現するための革命と言いました。自由の王国とは何か。何のために自由の王国を実現するのか。自由とは何であるかということです。これがマルクスにもエンゲルスにも分かっていなかったのです。

　マルクスは国家的束縛、民族的束縛から解放されることが自由だと考えたのですが、人間が死んでいくという不自由があるのです。人間の命を永遠に束縛するものがあるのです。人間は死を乗り越えることができないのです。こんなことで自由だと言えるのでしょうか。

　人間は死なねばならない、死なねばならないと考えているのです。病気になったら死なねばならないと思うのです。夫婦喧嘩をして死んでしまおうと考えるのです。とにかく、人間の考え方には、いつも死がまといついているのです。こんなことで一体自由と言えるのでしょうか。

　マルクスは資本主義からの自由と考えたのですが、これさえも達成できなかったのです。人間はいつも腹を立てるとか、焼き餅をやくとか、人を憎むとか、恨むとか、妬み根性を起こすとか、嘘を言うことから一切解放されるのでなかったら、本当の自由とは言えないのです。

　人間は六千年の間、大小様々な革命をしてきたのですが、本当の自由を獲得することができなかったのです。

　人間は何かを信じなければ生きていられないものです。肉の思いというのは、人間の信仰です。皆様の常識は人間の肉の思いを伝統的に裏付けたり、習慣的に説明している。これが常識です。肉の思いを理論づけたり、価値づけしたりしているのです。これが宗教になったり、文化になったり、哲学になったりしているのです。色々な形に化けているのです。

　肉の思いは肉体的に存在する人間を認める思いです。肉体的に存在する人間がいると思いはじめたことが宗教の始まりです。常識が宗教であるという人はいませんが、実は常識は宗教です。

　最初、人間は肉体的に存在するという意識を持っていなかったのです。聖書にはこのことを書いていますが、聖書に書いていなくても皆様が子供の頃のことを考えたら分かるのです。

　生まれて二、三歳くらいまでは、肉体的に存在するという概念はなかったでしょう。これが人間存在の原形です。例えば、日本の弥生時代とか縄文時代、あるいはもっと遡った時代に生きていた人々は、肉体的存在の自分をほとんど意識していなかったようです。

　お互いが生きているという相関関係はあったでしょう。しかし、人間が肉体的に生きているという強い意識はなかったのです。

　人間はある時に、自我意識と現象意識を持ち始めたのです。旧約聖書に記載されているエデンの園の事件によって、自我意識と現象意識を持ち始めたのです。人間の心理状態は本質的に言いますと、ただの機能です。何かを信じるとか、認識するかということはなかったのです。これは皆様の幼子時代の状態を考えれば分かるのです。人間の原形はそういう能力を持っていないものです。

　人間は五官によって何かを感じますが、五官の本質によって感じるのではなくて、人間の思いによってそれを感覚しているのです。

　五官には二通りの働きがありまして、五感の本質的な働きと、五官から受ける感覚を意識によって感じているということがあるのです。

　人間は目で見たとおりのものがあると考えていますが、般若心経はこれを色蘊と言っています。色蘊に基づいて、受想行識を造っていくのです。これが全部肉の思いです。般若心経はこれを明確に五蘊皆空と言っているのです。

　人間は五蘊を信じることによって、自分自身の世界観や価値観を勝手に造ってきたのです。これが肉の世界観、肉の価値観です。人間はこの中に潜り込んでいるのです。

　人間の心理構造は本質的に機能であって、何かを信じるということがないのです。機能は鏡のようなものであって、前に現われたものを写し取ることができるのです。鏡自身の中から映像を発信することができないのです。

　人間の心理構造は機能であって、前に現れたものをそのまま受け取ってしまう。これが人間の心理構造の原理になっているのです。

肉の思いによって死が発生した

　肉の思いというのは肉体的に存在する人間の思いであって、肉体感覚に基づく五官の働きです。これを人間は鵜呑みにして信じたのです。その結果、死が発生したのです。

　般若心経は肉の思いが死であること、五蘊が皆空であることをはっきり指摘しているのです。これは釈尊のすばらしい業績です。お釈迦さんのすばらしい手柄です。

　肉の思いは死である。肉体的に人間が存在するという気持ちで生きている人は、必ず死んでしまいます。もっとはっきり言いますと、肉体的に生きている自分を認めている人は、既に死んでいるのです。

　人間の思想は全部死んだ思想です。死んでいますから、皆様は自分の肉の思いから自由に抜け出すことができないのです。

　「霊の思いは命であり、平安である」とパウロが言っています。皆様は肉の思いをやめて霊の思いに引っ越ししたいと思われるかもしれませんが、できないのです。そのように、皆様の心理状態は束縛されているのです。束縛されているということは、死んでいるということです。

　思想の自由、行動の自由を失っているのです。死は観念の固定を意味するのです。観念が凍結しているのです。

　人間が死んでしまうと、観念が凍結状態になってしまうのです。人間の心が凍っているのです。こういう状態からどうして抜け出すかということです。この方法をお話ししたいと思うのです。

　人間が人間を教えるのが教育です。人間が人間を教育するということは、社会人として役立つ人を造るということだけならある程度有効であると言えるでしょう。職業教育というものなら有効です。

　現在の中学校の義務教育、高校の教育は職業教育になっているということは言えるのですが、基礎教育と言える面が多いのです。これは人間が生活するために必要なことです。どこまでも生活のためです。

　そういうことをはっきり認識しているのならいいのです。実利教育を学んでいるという認識があればいいのです。昔はこれを読み書きそろばんと言っていました。そういう実学なら値打ちがあるのです。これはただ生活の役に立つだけです。

　ところが、人間は生活することが目的で生まれてきたのではないのです。人間がこの世に生まれてきたのは、人間完成という大目的であって、そのために生まれてきたのです。これが人間の命の目的です。人生の目的です。

　例えば、この世で生活してみた所で死ぬに決まっているのです。一生懸命働いた所で、結局は死んでしまうに決まっているのです。

　だいぶ前のことですが、ある東大生が卒業間近になって、首を吊って自殺したという事件がありました。自殺する前に自分の心境をノートに書き残しておいたのです。

　高校時代に東大に入るために必死の勉強をした。人に言えないような苦しい勉強をして、やっと入学した。入学して三回生、四回生になって、単位を取るために相当の苦労をした。

　ずっと考えてみると中学時代から十年程の間、苦労をし続けてきたというのです。これから社会人になって、また苦労をしなければならない。これを考えると、もう人生が嫌になったというのです。

　会社に入ってどうなるのか。先輩たちがしているのを見ると、上役の御機嫌を取らなければならない。偉くなるとさらに上役の御機嫌を取らなければならない。いつも苦しんでいる先輩たちを見ている。これから定年まで苦しんだ結果、やがて死ななければならない。

　よく考えてみると、大学を卒業して社会へ出て頑張って働いて、どのような報酬を与えられるのかというと、死である。死なねばならないことになる。一生懸命に働いた報酬が死であると言う事は、どうしても回避できないことである。

　こういうことを考えると、嫌になった。僕は大学を卒業するまでの苦労でけっこうだから、社会人として三十年苦労をすることはお断わりして、死んでしまうことにしたと書いてあったのです。

　この人は非常に正直な人です。これは本当です。家庭を持てばある楽しみがあるだろうと考える。ところが、人間の楽しみの裏には必ず苦しみと悲しみがついて回るのです。これは皆様の生活をご覧になったら分かるでしょう。

　人間存在の楽しみ喜びの裏には、必ず苦しみと悲しみが一体となっているのです。嘘を言わなければ生きていけないのが世の中です。本当のことを本当に考えていたのでは、その人は社会からはじき飛ばされてしまうのです。自由に生きられない世の中です。世界全体がそうなっているのです。そうして、最後には死んでいくことになるのです。

　これは悲観論ではありません。当り前のことを言っているのです。結局人間は死ぬことになるのです。肉の思いで生きていたらそうなるのです。なぜそうなるのかと言いますと、人間存在の本質についての間違いを改めないままの状態で生きているからです。

　人間が人間を教育することが間違っているのです。人間が人間を教育した所で、人間完成は絶対にできません。宗教が間違っているのはここにあるのです。

　宗教は人間が造った教義によって、人間を救おうと考えているのです。こういう根本的な間違いをしているのです。人間が考えた教義に基づいて、人間を教えているのです。

　キリスト教の場合には、贖罪論を用いて人間の罪を消そうと考えているのです。人間存在に対する明確な指導原理は存在していないのです。人間の常識で造りあげた宗教は全部間違っているのです。人間が造りあげた教義に基づいているからです。

　教育も、宗教も、文化もすべて人間が造ったものです。こういうものによって人間を幸福にしようと考えることが間違っているのです。そんなことができるはずがないのです。

　犬の訓練をするのは人間です。人間が指導しなければ犬の訓練はできません。犬が犬の訓練をすることができるのでしょうか。人間が犬を訓練するから、警察犬、盲導犬ができるのです。犬の能力を極限まで引き出すのは、人間です。

　人間の能力を引き出すことができるのは何でしょうか。教育という原理は人間が持っている能力を引き出すことなのです。人間が人間の能力を引き出そうと考えてもだめです。犬が犬の訓練をするようなものです。社会人として生活する能力をつけるくらいのことはできますが、これは職人訓練であって、教育と言えるようなものではないのです。

　大学で教えている学問は人間が造ったものです。人間が造っていない学問は一つもありません。誰かが書いた論文が学理になり学説になっている。これは人間が造ったものです。

　ノーベル賞をもらう人も、与える人も人間です。人間が人間に賞を与えて何になるのでしょうか。ノーベルはダイナマイトを発明したユダヤ人でした。ユダヤ人に褒めてもらって、何が嬉しいのでしょうか。

　人間が人間を褒めたり、人間が人間を教育している。これは全く猿芝居です。このように人間に対して、文明に対して、徹底した批判をする必要があるのです。

ユダヤ人によって造られた現代文明

　現代文明はユダヤ人のトリックです。私はこれを覆すことが目的で述べたり書いたりしているのです。人間の本質に対する考え方が間違っているのです。宗教が間違っているくらいのものではないのです。文明そのものが根本的に間違っているのです。

　今の文明を信用していると、人間は全部地獄へ引きずり込まれるのです。死ぬしかないのです。なぜなら、文明は人間が死んでいくことを承認しているからです。死んで行くことを承認しない文明はあるのでしょうか。

　間違っているのは日本人だけではありません。全世界の人間の世界観や価値観が全部間違っているのです。肉の思いで生きているからです。肉体人間が生きていることが命の足しになるのでしょうか。

　ある高校の先生が言っていました。高校一年の生徒はまだおとなしいのですが、二年になると少し悪くなる。三年になると非常に悪くなる。大学を出たらもっと悪くなるので、私は心を痛めていると言っていました。

　なぜこういうことになるのかと言いますと、人間が人間を教育しているからです。これは学校の先生が悪いのではない。文部科学省が悪いのではない。文明が悪いのです。文明を操っている白人が悪い。その白人を操っているユダヤ人が悪いのです。ユダヤ人がとんでもない悪の元凶になっているのです。

　人間文明はこういうトリックの上に立っているのです。高校時代には文明が間違っている、学問が間違っていると言えばまだ理解できるのですが、大学に行きますと、文明一辺倒になってしまうのです。全く現実主義の人間になってしまうのです。

　日本の封建時代までの教育は職業教育ではなかったのです、読み書きそろばんという言葉がありましたが、こういうことは教育とは言わないで、寺子屋の訓練と考えたのです。

　教育というのは人格教育、命に関する教育をいうのです。寺子屋の訓練が日本の本来の教育だったのです。これは人間が人間を育てるのではなくて、人間が大自然に学ぼうとしたのです。命を考えていた、人間完成を考えていたのです。

　ところが、明治時代に文明開化と言いまして、西洋文明が日本に流入した結果、犬が犬を教育するようなことになってしまったのです。

　文明はこういう間違いをしているのです。基本的人権というありもしないものをあるように言っているのです。基本的人権はありもしないものです。職業を持つ権利とか、結婚する権利があるとか、生活する権利があると言いますけれど、仕事につけない人がたくさんいるのです。結婚できない人もたくさんいるのです。

　学者や政治家が基本的人権という言葉によって、大衆をおだてあげているだけのことです。本当の人間の魂を考える、まつりごとを考える政治家は、日本にもアメリカにも、どこの国にもいないのです。まつりごとが分かっていないからです。

　政(まつりごと)というのは人間の生活のことです。人間生活の実践というのは、お互いに政りあうことです。これが人間生活の営みです。これは極めて素朴な思想です。

　人間生活というのはお互いにまつろいあうこと、まつりあうことです。これが政という言葉の意味です。

　政とは生活のことです。人間は家庭生活において、また、社会生活においてお互いに政りあうことが、命の訓練になるのです。人間の生命の本質はそういうものです。

　人間は自分自身を完成するために生きているのです。私たちは自分自身の命を完成するために生きているのです。

　現在の人間は未完成の命しか持っていないのです。未完成の命を持ったままで生きているのですから、死んでしまえば、人間が生きていたことが無意味なってしまうのです。

　未完成の命を完成しないままで死んでしまうのですから、そのこと自体が無意味です。

　人間の最大の敵は文明です。文明は命の敵です。命をまともに考えようとしたら、人間完成を考えたらいいのです。

　私は極左主義者でもないし、極右主義者でもない。本当のことを言っているのです。本当の意味での生命を知るべきです。私たち自身の生命の実体を確認して、命を完成するために生きているのです。

　そのためには、イエスが死を破って復活したという事実を勉強したらいいのです。そうしたら、私たちも死を破ることができるのです。これ以外に、死を克服することはできません。

　死を破った人間の勉強をするのです。これ以外に、死を破る方法はありません。この勉強が、神が人間を教育するということです。

　人間が人間を教育したら、現在のようなだらしがない無責任な人間を造るばかりです。わがままな自分勝手な人間を造るばかりです。

　人間を教育する実力があるのは神だけです。神とは何かと言いますと、皆様の中にある命の本命です。命の本体です。皆様が生きているということは、ザ・リビング（the living）です。ザ・リビングという英語に相当する日本語はないのです。生きていることの実質、実体です。

　皆様の目が見えることの実質、実体を勉強するのです。心臓が動いていることの実質、実体を勉強するのです。これが本当の生命の実相です。

　本当の生命の実相というのは、皆様が生きていることの実体です。これは人間に聞いても分かりません。神に聞くしかないのです。私は神に聞いて分かったのです。だから、私は神の思想を受け売りして、皆様に話しているのです。

　これは宗教ではありません。だから、宗教ではないと断っているのです。私はどんな大学でも、どんな宗教でも分からない、奥の院のことを述べているのです。現在の世界の文明の最大の弱点をずばりと突いているのですが、こんなことは宗教では分かるはずがないのです。

　神の思想であるからこそ、人間の文明をぼろくそに言えるのです。神の思想でなかったら、人間の思想をこんなにぼろくそには言えないのです。

　文明の実体は何が何やらさっぱり分からないものです。世界全体のあらゆる学問や思想をまとめ上げて統一するような大指導原理が、今の文明にはありません。イエス・キリストはこれを明示したのです。これが死を破ることです。

　死を破ること以外に、人間文明に本当の光を与えることはできません。死を破った命そのものが光です。これをイエスは皆様に教えているのです。

　イエスは宗教家に殺されたのです。だから、本当の命が分かっている宗教家は日本には一人もいないのです。般若心経という大哲理と聖書という大生命の二つのものを一つにして、宗教ではないと言った人はいないのです。

　新しい文明を造り出すことができるような本当の世界観が、日本から出るべきです。

　肉の思いは死である。これが文明の原理です。新しい文明の原理は霊の思いです。新しい文明の原理が日本から発信されるべきです。

　人間は生きることには大変熱心ですが、命については全く不熱心です。これはおかしいことですが、事実現在の日本人はそういう変な心理状態で生きているのです。

　宗教を信じている方はたくさんいます。宗教を信じることも、結局自分が幸せになりたいからです。

自分とは何か

　自分が幸せになりたいと思いますが、自分とは一体何でしょうか。すべての人は自分がいると思っていますが、自分の本性は霊魂そのものでありまして、自分というものではないのです。

　自分という人格は英語でいうエゴ（ego）でありまして、自我です。これは本当の自分ではないのです。

　英語にはアイ（I）とエゴ（ego）と二つありますから分かりやすいのですが、日本語には私と自分という言葉しかありません。日本語の私も自分も同じことになるのです。

　本来、人間は自分の意志によって生まれて来たのではありません。ところが、現在皆様は自分の意志によって生きています。これは人間の生命の本質から考えますと、初めから間違っているのです。

　自分というのは生まれた後の性格、個性であって、本来の人間の霊魂に係わる人格ではないのです。本来の人格と後天的な、現世に生まれてからの性格と両方あります。この二つのものは良く似た所がありますが、本質的には全然別のものです。

　自分とか私という考え方は後天的な性格です。社会的な人間生活に基づく人間の考え方からできたものです。

　皆様は生まれた時には自分という感覚、考えは全然なかったのです。ところが、二年、三年とこの世で生きているうちに、自分という感覚に目覚めたのです。親がそういう意識を与えたのです。二、三才の頃に、自分で食べなさい。自分で歩きなさい。自分でしなさいと盛んに言われたので、自分がいるという意識を子供が持ってしまったのです。

　自分というのはこの世に生まれた後に教え込まれた肉体人間の性格であって、これは人格と言えるものではありません。性格です。

　性格と人格とは違います。人間の性格は仏教的に言いますと無明です。無明というのは生まれながらの妄念のことです。生まれながらの妄念に基づいて、私とか自分というような性格が発生しているのです。こういうものを本当の自分だと思っていますと、皆様の命は妄念に吸い取られてしまうことになるのです。

　自分が幸せになりたいので宗教を信じるという感覚が迷信です。自分が幸せになりたいというその性格が、妄念によって発生した性格ですから、こういうものに引きずられていますと、自分の霊魂というものに明確な認識を持つことができなくなるのです。

　宗教というものは無明の人間が造った理屈です。般若心経は仏教で用いられていますが、本来、般若心経の思想というものは、宗教を否定しているのです。

　無無明亦無無明尽、乃至無老死亦無老死尽、無苦集滅道と言っています。般若心経の真ん中くらいにある言葉ですが、無無明亦無無明尽、乃至無老死亦無老死尽というのは、十二因縁はないと言っているのです。無明に始まって老死に終わるのは十二因縁のことです。

　十二因縁は大乗仏教の唯識論の基本原理です。それがないと言っているのです。般若心経は実に勇敢に大乗仏教の唯識論を否定しているのです。

　苦集滅道というのは四諦です。般若心経は四諦八正道を否定しているのです。仏教の教説を根本的に否定しているのです。これは勇敢なものです。だから、般若心経は宗教ではないのです。

　宗教ではない般若心経が正しい見方になるのです。般若心経は釈尊の悟りの中心を集約したものです。これは空、無を中心に述べているのです。空とか無とかという大精神は、東洋思想の真髄でありまして、般若心経は全部で二百七十六文字ですが、無、空が三十六、七文字含まれているのです。つまり、般若心経は無と空を説いていると考えてもいいと思われるのです。

　般若心経は仏教という宗教は無であり空である。人間の常識も空であると言っているのです。

　人間はこの世に生まれて来た自分、肉体的に存在する自分を自分だと思い込んでいるのですが、この思いが無明です。妄念です。この妄念に基づいて文明社会が出来ています。仏教という教えができています。キリスト教という教えができているのです。

　聖書はキリスト教の教本ではありません。般若心経の思想は本来仏教の経典ではないのです。なぜなら、仏教の基本思想を否定しているからです。

　私は般若心経と聖書ははっきり宗教ではないと考えているのです。

　皆様は生きていながら、命のことを考えていない。生きていることについては非常に熱心ですが、命については不熱心です。

　病気になりますと、あわてて病院にとんでいきますが、霊魂のことに関しては真剣に考えようとしていないのです。現在の日本人の考え方というのは、全くどうかしているのです。

　日本人には正しい世界観が全くありません。正しい価値観もありません。神が何であるのか、仏が何であるのか、こういうことについて正しい認識を持っていないのです。

　宗教は無明の人間が幸福になるために教義という理屈を造り上げたのです。これを信じるのは自由ですが、それは真実ではありません。真実ではないことを承知して、道楽で宗教通いをすることもありますから、それを承知で信じるのは自由です。その結果、自分の霊魂を棒に振ることになるのです。

　宗教は人間をはっきり欺いているのです。病気に対する薮医者みたいなものです。免許を持たない偽医者みたいなものです。本当の命をしっかり踏まえている訳ではないのです。

　人間は自分が見ているつもりですが、これが間違っているのです。こういう考え方を無明というのです。皆様の網膜にあるものが映っているのです。見ているのではないのです。映っている映像が視覚神経によって脳に行き、脳で処置されて見ているように思っているのです。

　自分の目がどのように働いているのかということさえも、人間は知らないのです。こういうことを般若心経では五蘊皆空と言っているのです。

　皆様の考えは妄念の塊です。学問も倫理、道徳も、妄念の塊です。そういう頭で宗教を信じているのですから、とんでもない間違いをしてしまっているのです。

　現在、皆様の心臓が動いています。心臓が動いているという事実は神という事実です。神というのは最も顕著な実体でありまして、明々白々な大きい事実です。最も大きい実体、真実が皆様の精神に何の影響も及ぼしていない。

　皆様の霊魂は自分自身の妄念によって死んでしまっているのです。こういう頭で現在の日本人は生きているのです。

　私は現在の日本人の世界観や価値観が妄念の塊であることがはっきり分かっています。このまま見過ごすべきではないと考えているので、いろいろな本を書いて警告しているのです。

　皆様方を宗教団体へ引きずり込もうとか、お賽銭を集めようとか、般若心経を写経して、千円をつけて送ってくださいというばかなことは言いません。

　皆様が現在生きているその命をよく見て頂きたいのです。生きているということを真っ直ぐに見れば、命が見えるのです。

　毎月、四回日曜日あります。日曜日はイエス・キリストの復活記念日です。ところが、日曜日の意味を誰も知らないのです。何も考えずにただ休んでいるのです。

　今年は２０１５年です。２０１５年というのはキリスト紀元です。キリストが生まれたことによって、世界の歴史がなぜ新しくなったのか。こういうことを真面目に考えようとする人が、めったにいないのです。キリスト教でさえもこのことをはっきり教えていないのです。

　こういうことを教えますと、現在のキリスト教がインチキであることが分かるのです。分かるから教えないのです。

　キリスト教ではイエス・キリストが復活したことは教えます。しかし、復活とはどういうことなのか、イエスが死を破ったということは科学的にどういうことなのか。現在の人間の命とイエスが死を破ったとは、どういう関係になるのかということを、具体的に説明しません。ただ何となく誤魔化しているのです。

　キリスト教が間違っているのです。世界中のキリスト教が間違っているのです。カトリックも、プロテスタントも、皆間違っているのです。イエスの復活が分かっていないからです。

　イエス・キリストが復活した。これは歴史的事実です。現在、新約聖書は永遠のベストセラーになっています。断トツの第一位の売上を続けているのです。日本では毎年六百万部、全世界でも毎年六十億冊も売れ続けていて、大ベストセラーになっているのです。

　それほど売れている聖書の中で、イエス・キリストの復活が明確に記されているのですが、復活をまともに信じている人がいないのです。

　キリスト教は真実ではない。嘘だとはっきり言えるのです。人間のある精神段階において、ある種の参考になることも有り得るということは言えるでしょう。とことん勉強していきますと、宗教は皆様の霊魂を裏切るに決まっているのです。本当のことを教えてくれないからです。

　皆様はもっとまともに生きて頂きたいのです。今年が二〇一五年であるとはどういうことか。イエスが復活した日曜日はどういうことなのか。こういうことを照見すれば、また、人間存在を虚心になって照見すれば、命が見えるのです。

　霊魂不滅ということは、霊魂は本来死ぬべきものではないということです。ところが、皆様は人間は死ぬのが当たり前だと思っているでしょう。これが霊魂不滅が分かっていない証拠です。

未完成の人間と未完成の地球

　現存在の人間は未完成の人間です。こういうものを一人前の人間だと思うのが間違っているのです。現在の地球も未完成です。皆様の肉体も未完成です。だから、病気になるのです。未完成の地球に、未完成の人間が生きているのです。

　現代の文明も未完成です。今の文明はかなり出来損ないの文明です。西欧の文明という思想は、ただ生活だけを考えているのです。東洋的に文明を理解しますと、人間自身の存在についての非常に深い認識を文明というのです。

　文明の文という字は綾であって、森羅万象の姿がそのまま綾になるのです。これを明らかにすることを文明と言います。仏教的に言いますと、観世音することになるのです。

　この世の中の世音を見ることです。そうすると、本当の人間が分かるのです。

　未完成の地球に未完成の人間が生きているのですから、人間自身の思想を信用することが間違っているのです。

　見るということだけでも正しく理解できていません。皆様は自分の体重があると考えているでしょう。六十キロとか七十キロあると思っています。

　皆様は宇宙ステーションの中の光景をテレビの中継でご覧になったことがあるでしょう。重いと思っている人も、軽いと思っている人も、皆空中に浮いているのです。もし本当に固有の体重あるとしたら、なぜ空中に浮いているのでしょうか。

　ところが、皆様は体重があると思っているのです。こういう思いを肉の思いというのです。肉の思いで体重があると思っているのですが、体重はないのです。ただ引力に対する抵抗があるだけです。これが目方になって現われているだけです。

　このように人間の考え方が根本から間違っているのです。未完成の人間はアウフヘーベン（揚棄）されなければならないのです。イエスの復活ということは、概論的に言いますと、人間自身のアウフヘーベンです。

　現在の人間は未完成の人間であって、テーゼです。肉的に存在する人間がテーゼです。イエスがアンチテーゼです。テーゼとアンチテーゼがぶつかりあって、ジンテーゼ、完成された人間になるのです。

　肉的とは肉体的に存在する人間で、これ自体は罪ではありません。キリスト教では肉という言葉の意味が分からないのです。キリスト教の教義は困ったものでして、肉という言葉の意味が全然分かっていないのです。

　肉体的に人間が存在するのは当たり前のことです。これを自我意識によって見るから間違ってしまう訳で、霊の思い、神の側に立って見たらいいのです。

　「すべての肉に私の霊を注ぐ」ということを神はしているのです（使徒行伝２・17）。霊を注がれた状態で人間の肉体を見たら、肉体そのものがアウフヘーベンされていることが分かるのです。これが復活の奥義です。

　イエスが十字架につけられた。三日目に甦った。甦った時に彼の体は栄光体であった。栄光体というのは、アウフヘーベンされた人間の体です。肉体がなければ、アウフヘーベンされません。肉体があるということは、アウフヘーベンされるべき可能性があることを意味するのです。

　イエスはすべての人間に対するアンチテーゼです。釈尊はアンチテーゼではありません。釈尊はすべての人間と同質の人間です。イエスはすべての人間を否定する要素を持っているのです。我は生ける神の子キリストという概念は、すべての人間を否定する要素を持っていることを意味するのです。

　イエスという人を勉強しますと、皆様は自分自身の存在が実は自分自身ではないことが分かるのです。

　テーゼとしての自分が、アンチテーゼとしてのイエスによって否定されるのです。このことを十字架というのです。自分自身が否定されますから、罪が許されることになるのです。

　これがキリスト教では全く分かっていないのです。キリスト教の教義はめちゃくちゃです。

　死ぬべき人間は未完成の人間です。死ぬとはどういうことかと言いますと、肉の思いが死になるのです。現象を実体だと考える思想が肉の思いです。

　肉体はありますが、肉体は虚体であって、実体ではないのです。肉体は新陳代謝しながら存在しているのです。肉体は実在するのではなくて、流動的な形で存在しているのです。流動的な形で存在しているということは、実在するのではなくて、流れているということです。

　人間の肉体に血液が流れているように、肉体そのものが流れているのです。このことをヨハネは、「イエスは水によって来られた」と書いているのです。（ヨハネの第一の手紙５・６）。水だけではなくて、水と血とによって来られたと書いているのです。これが人間の肉体が流れているということの聖書的な表現になるのです。

　現在の肉体現象は実体ではありません。このことを色即是空という言葉で、般若心経が裏付けしているのです。

　現在の地球は未完成ですから、アウフヘーベンされなければならないのです。聖書に神の国、新天新地という言葉がありますが、これが完成された地球の状態を示しているのです。

　イエスの復活は地球と人間との揚棄であるとなるのです。

　聖書にはこういうことがすべて書いてありますが、キリスト教は聖書を正しく読んでいないので分からないのです。キリスト教の教義が間違っているのです。キリスト教の教義が聖書を宗教的に解釈しているのであって、聖書は元来宗教ではありません。

　イエスは宗教を非常に嫌ったのです。パリサイのパン種とかサドカイのパン種とか言って、当時のユダヤ人から非常に嫌われたのです。

　当時のユダヤ教と現在のキリスト教は非常によく似ているのです。キリスト教の信じ方とユダヤ教の信じ方とはよく似ている所があるのです。

　イエスは宗教を痛撃したために、宗教家に殺されたのです。イエスを殺したのは宗教家です。パリサイ人がイエスを殺したのです。

　新約聖書にはイエスの伝記がそのまま出ていますけれど、新約聖書は全くの命の言葉です。命の言葉をキリスト教は宗教のように取り扱っている。これが悪いのです。

　聖書の他に救いはありません。だから、聖書を神の言葉として見ていかなければいけないのです。

神とは何か

　聖書に、「神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である」とあります（マタイによる福音書22・32）。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神とありますように、生きている者の神が神です。アブラハム、イサク、ヤコブというユダヤ人の祖先の名前が出ていますが、例えば、田中さんが生きているということが、田中さんの神です。加藤さんが生きていることが、加藤さんの神です。

　神はアブラハム、イサク、ヤコブに限ったことではありません。皆様が生きているということが神です。命ということが神ご自身です。言葉をかえて言いますと、インマヌエルとなるのです。

　インマヌエルというのは、神が共にいますことです。皆様の心臓が動いていることが神です。

　現在、皆様は心臓が動いているという形で生きています。皆様が生きているという事実を通して、皆様は現在神と交わっているのです。目が見えるということが神の御霊の働きです。御霊の働きを目という機能を通して見ています。皆様は神と知らずに神と交わっているのです。このことをイエスは「父が共にいます」と言っているのです。

　このことがお分かりになれば、皆様は自分の命がとこしえの命であることが分かるはずです。ただ心臓が動いているということだけでは分かりません。新約聖書を勉強して頂かないといけないのです。

　心臓が動いていることが神だとしたら、皆様が現在鼻から息をしていること、今年が二〇一五年に生きているということ、地球が自転、公転していること、大自然が展開していることが、神という驚くべき事実になるです。

　神というのは正真正銘の事実です。このことを聖書ではシュワリーゴッド（surely God）と言っています。シュワリーとは本当のこと、真実そのものということです。

　そのように真実そのものが神そのものです。これは信じるとか信じないということではなくて、皆様方が自分自身の命の実体に気が付きさえすればいいのです。

　そのためには、今までの自分自身の常識が間違っているということをご承知頂きたいのです。特に宗教観念的な常識が間違っているということをご理解頂きたいのです。

　般若心経には五蘊皆空という文字がありますが、宗教観念は肉の思いであって、五蘊です。人間は肉体的に存在する自分を自分だと思っているのです。自分が救われたいという思いが肉の思いです。この思いがある間は、その人は罪の内に閉じ込められているのです。

　「肉の思いは死である」とパウロが言っています。死とは肉の思いです。肉の思いを解脱すれば、救いに到るべき道が開かれるのです。

　イエス・キリストの十字架を信じるということは、普通の常識を持っていたのでは絶対にできません。

　イエスが十字架にかかって死んだということは、すべての人が死んだことを意味しているのです。皆様は死んでいるのです。このことは人間の常識では分かりません。キリスト教では死んでいるとは言いません。死んでいると言ったら、誰も教会へ行かないでしょう。

　十字架を信じるということは、肉体的に生きている自分は存在はしているが、死んでいるということを信じるのです。思想的に死んでいるのです。こういう状態で人間は生きているのです。だから、自分の思想を転換してしまわなければならないのです。

　パウロは、「キリストと共に死んだなら、また彼と共に生きることを信じる」と言っています（ローマ人への手紙６・８）。キリストと共に死ぬということが絶対条件です。このことがキリスト教では正確に説かれていません。

　人間は自分が救われたいと考えています。こういう考えが反聖書的です。人間は救われるものではなくて、死んでしまうべきものです。死んでしまっていることに気がつきさえすれば、救われるのです。

　本当に自分が死んでいるということが分かった人は、救われるのです。これを彼と共に死ぬなら、彼と共に生きるだろうとなるのです。

　肉体的に生きているままで、常識を持ったままで、イエスを信じようとしても、とてもイエスが信じられるものではないのです。

　イエスを信じるということは、イエスが主であることを信じるのです。主であるということは、皆様の実体、主体がイエスであることを、皆様が承知されるかどうかということです。

　自分が救われるも救われないもありません。自分自身が主体でなくなってしまうからです。救われるべき自分は消えてしまうのです。肉の思いの自分が消えてしまうのです。これが十字架です。

　パウロはそのように考えています。私たちはそれを経験しているのですから、本当の聖書の信じ方をお話ししたいのです。これを受け取って頂ければ、そのまま命の言葉になるのです。

　そのためにはまず、般若心経の五蘊皆空、色即是空を受け取って頂きたいのです。五蘊皆空とは肉の思いが空であるということです。このことがはっきり分からなければ、イエスを信じることはとてもできません。

　般若心経を悟ることによって、初めてイエスに近づくことができるのです。自分の思想が空であることを明らかにしないままで、キリストを信じようと考えてもだめです。皆宗教になってしまうだけです。

般若心経と聖書を一緒に学ぶ

　宗教ではないキリストを信じようと思えば、五蘊皆空、色即是空という考え方を下敷きにしなければならないのです。日本人にはこれが一番必要です。そこで、私は般若心経と聖書を強調しているのです。

　新約時代において、現在私たちが生きていることが、そのまま救いになっているのです。浄土真宗に、「この身このまま仏である」という言葉があります。ところが、西本願寺では、「この身このまま仏である。けれども、その身がそのままでは仏ではない」と言っているのです。この身がこのまま仏である。しかし、その身がそのままでは仏ではないのです。

　私は人間の考えに逆らった考えを持っていまして、世間の宗教を良く言っていません。人間は間違っていると言われますと、むかつくのです。ことに宗教観念について、あなたの宗教は間違っていると言われますと、腹が立つのです。自分の親の悪口を言われたよりも、もっと腹が立つでしょう。信心は人間の美徳です。しかし、美徳であるから困るのです。

　皆様は現在キリスト紀元の時代に生きているのです。生きていることの本当の意味が分かりさえすれば、皆様の命がそのままとこしえの命であることが分かるのです。

　皆様が本当の救いを得ようと思われるなら、キリスト紀元を正しく理解しなければならないのです。イエス・キリストの十字架によってこの世界が新しくなった。人間の運命が全く新しくされたのです。このことがなかなか分かるものではないのです。容易に分かるものではありません。よほど、純真に素直に、聖書を受け取ろうという覚悟がなければ、キリストの十字架を受け取れないのです。

　「一人の人が死んだことは、すべての人が死んだことだ」とパウロが言っているのです（コリント人への第二の手紙５・14）。

　すべての人は既に死んでいるのです。ところが、皆様は自分が生きていると思っている。だから、あなたの宗教は間違っていると言われると、腹が立つのです。

　皆様は死んでいるのですから、自分の宗教があるべき道理がないのです。こういう言い方は今の皆様にとって、荒療治かもしれません。ちょっと手厳しいかもしれません。しかし、聖書の言葉によれば、肉の人間はもう死んでしまっているのです。

　イエスが肉にて殺されたことは、皆様が肉にて殺されたことを意味するのです。イエスが霊にて生かされたということは、皆様が霊にて生かされたことになるのです（ペテロの第一の手紙３・18）。イエスと共に死に、イエスと共に生きる。これが人間の絶対的な運命です。

　日本人はキリスト教を外国の宗教だと思っていますから、どうしても受け取り方が間違ってしまうのです。キリスト教を信じている人はキリスト教の教義によって間違っています。キリスト教を信じていない人は、日本人の常識によって聖書を間違えているのです。

　例えば、内村鑑三氏のような大先生でも、間違えているのです。これは本当に困ったことです。聖書が正しく受けとめられていないということは、日本人の大不幸です。この大不幸を何とか解消したいのです。たとえ一人でも二人でもいいですから、この間違いに気づいて頂きたいのです。

　キリスト教が間違っていること、聖書の言葉が命であること、イエスの御名、神の御名が皆様の命であることを申し上げたいのです。

　自分の宗教で、また、現在の自分の人生観、価値観で満足している人はたくさんいますが、これが間違っているのです。満足しているから悪いのです。

　本当に皆様が死んでいるかどうかです。死んでいなければ、新に生まれることは出来ません。

　「心を更えて新にせよ」とパウロが言っています（ローマ人への手紙12・２）。イエスは「水からと霊からとによって新しく生まれなければ神の国へ入れない」と言っています（ヨハネによる福音書３・５）。風の声を聞けと言っているのです。霊によって生まれた者は、風のようなものだと言っているのです。

　風の声が御霊の声です。これを本当に聞いて頂きたいのです。心の耳を開いて、風の声を聞いて頂きたいのです。

　本当の聖書が理解されていないことが、日本人にとって非常に悲しいことです。このことをよくご理解頂きたいと思います。

　仏説阿弥陀経、大無量寿経にありますが、法蔵比丘が阿弥陀如来となる前に、自分自身の中に無量寿と無量光を見たのです。自分自身の中に阿弥陀如来があることを見たのです。これが阿弥陀如来の正体です。

　皆様方が本当に静かに新約聖書をよくよくご覧になれば、阿弥陀如来が見た命よりももっとすばらしいものが見えるのです。極楽浄土よりもっとすばらしい神の国が見えるのです。

　どうぞ自分の命をかけて、聖書を勉強する気持を持って頂きたいのです。

　日本には本当の命がありません。宗教はたんさんありますが、命がないのです。

　神を信じるとはどうすることか。イエスは、「あなたがたは、心を騒がせないがよい。神を信じ、また、私を信じなさい」と言っています（ヨハネによる福音書14・１）。

　神を信じるということを宗教的に考えますと、人間が神を信じなければならないと考えるのです。これを英訳では、believe in Godとなっています。直訳しますと、神において信じなさいという意味です。

　人間が信じるのではなくて、神において信じるのです。神において信じるとはどういうことかと言いますと、現在皆様が存在していらっしゃることが、神そのものです。

　人間が存在すること、万物が存在することの本源が神そのものです。我は有りて在るものなりと神は言っています。私はあってあるものだ、これは存在そのものという意味です。

　存在とは何かと言いますと、時間が流れていること、空間があること、皆様の命があることが存在です。時間と空間と人間があることとは何か。時間の間、空間の間、人間の間、間ということが存在ということです。

　時間、空間、人間の三つのものが、新約聖書によって一つに束ねられることになるのです。これが新約の信仰です。キリスト教の教義で考えているようなものではなくて、大自然が存在すること、人間が生きていること、新約聖書の三つが、ぴたっと一つになるのです。これが本当の信仰です。

　信じるということは宗教観念を持たないことです。心の霊を新にすることです。人間はいろいろな霊に閉じ込められているのです。商売人は商売の霊を一杯背負い込んでいるのです。宗教家は宗教の霊を背負い込んでいる。人間は現世において、いろいろな霊を背負い込んでいるのです。いろいろな霊が心に張り付いているのです。

　宗教の霊、日本の国という霊、日本人の常識の霊、サラリーマンの霊、学生の霊など、たくさんの霊があるのです。これが皆様の心に張り付いているのです。これを心の霊とパウロが言っているのです。「心の霊を新にせよ」と言っているのです（エペソ人への手紙４・23）。

　そうして、新しき人を着るのです。皆様は神と関係なく自分があるような気がするでしょう。これが人間の霊です。これははっきり悪魔の霊ですが、これを人間は背負い込んでいるのです。

　自分が幸いになるとか、自分が死んでから天国へ行くとか、そういう思想が全く宗教です。

　目が黒いうちに、生きているうちに、神を見るのです。イエス・キリストを着るのです。イエスの心を自分の心にするのです。

　霊を新にしたら、死なない命がはっきり経験できるのです。このことを悔い改めるというのです。悔い改めるということは、心を新しくして出直すことです。パウロは、「心を更えて新にせよ」と言っているのです（ローマ人への手紙12・2）。これを実行して頂きたいのです。

（内容は梶原和義先生の著書引用）

倒錯した文明から脱出する

般若心経を読んでいらっしゃる方は、日本にはずいぶんいますが、何のために般若心経を読んでいるのでしょうか。これが分かっている方がめったにいないのです。

　般若心経は四角い文字がやたらに並んでいるのでありまして、読むのは簡単ですけれど、その意味を本当に捉えることは簡単ではないのです。

　皆様は現在生きています。生きているということは、命を経験しているということです。ところが、命とはどういうものかということが分かっているのでしょうか。

　生きていながら命が分からない。これが世間並の人間の状態です。生きているという言葉は、命を経験していることをいうのですが、命を経験していながら命とは何かが分かっていないのです。

　人間とはこういうものなのです。現在自分が何か仕事をしていながら、何をしているのかが分からないのです。

　聖書に、「彼らはそのなすところを知らざればなり」という言葉があるのです。何かをしているが、何をしているのか本人に分かっていないのです。これが人間です。そのために人間は死んでいかなければならないことになるのです。

　誰でも皆死にたくないに決まっているのですが、死なねばならないと思っているのです。死ぬのが嫌であるが、死なねばならないと思っているのです。三十歳か四十歳の頃は、死ぬのは先のことですから、死ということをそんなに真面目に考えなければならないとは思っていませんが、七十歳くらいになると、そうは問屋が卸さないことになるのです。

　死とは何か。この世を去ることと、死ぬということとは別問題なのです。死ぬというのはどういうことか。これがはっきり分からないのです。

　日本人は生活のことは一生懸命に考えますけれど、命のことをほとんど考えようとしていないのです。生活のことは一生懸命です。人間のお付き合いとか、商売のこと、家庭のことには一生懸命ですが、自分自身の命について真面目に考えている人はめったにないのです。

　般若心経を読んでいる人は、一千万人くらいはいるでしょう。読んだり写経したりしている人は、ずいぶんたくさんいるでしょう。

　ところが、生きていながら命が分からないように、般若心経を読んだり書いたりしていながら、意味が分かっている人がめったにいないのです。

　般若心経を商売道具にしている宗教家がずいぶんいますけれど、その人々は般若心経のことが全然分かっていないのです。分かっていないから般若心経を商売道具にしているのです。

　日本人は般若心経を大変愛していますけれど、般若心経の内容の真意を、ほとんど愛していないのです。論語読みの論語知らずという言葉がありますが、心経読みの心経知らずになるのです。

　般若心経の本当の意味が分かると、まず自分自身の生き方が間違っていることが分かるのです。般若心経は無という字と空という字とを合わせて三十五、六字あるのです。般若心経全体は二百七十六字ですから、一割以上が無、空の文字になるのです。

　般若心経は無ということを語っているのです。人間が生きているということが、空である、無であると言っているのです。

　日本人は般若心経を愛してはいるけれど、自分自身の人生が空であることを知っている人はめったにいないのです。これはどういうことでしょうか。

　実は自分自身の人生が空であることが分かりますと、皆様は死ななくなるのです。自分の人生が空であることをはっきり確認しようとしないから、死なねばならないことになるのです。結論的にいうとそうなるのです。

　人間が生きていることが空ですから、自分自身の人生を空だと考えなければならないのです。自分自身が空であることが分かれば死ななくなるのです。

　ところが、人間は自分自身が空であることを考えるのが、甚だ辛いのです。しかし、現在の皆様が考えている自分は、死ぬに決まっている自分です。死ぬに決まっている人間を自分だと思っているのです。

　死ぬに決まっている人間を空じてしまうということは、死ぬことを空じてしまうことになるのです。

　今の皆様は死ぬに決まっています。死にたくないといくら地団駄を踏んでも、死ぬに決まっているのです。死んでしまうに決まっている自分をはっきり空として見てしまうことになりますと、死なない自分を発見することができるのです。

　人間は死ぬに決まっています。この世に生まれてきた人間は死ぬに決まっている。この世に生まれてきたということが業(ごう)です。この世に生まれてきたことが業ですから、これを切って捨ててしまうことは、自分の業を切って捨てることになるのです。

　死んでしまう自分を空じてしまえば、死なない自分を発見することができるのです。この意味で般若心経は本当に真面目に勉強すべきものなのです。

　これは宗教の話ではありません。宗教というものは現世に生まれてきた人間に幸福を与えようという考えを持っているのです。この世で幸せな暮らしをする。死んでから極楽へ行くということを教えるのです。

　こんなうまい話はありません。これは根本から間違っているのです。この世に生まれてきたことが業ですから、生まれてきたことが間違っているのです。

　生まれてきたことが間違っているというのは、皆様自身の責任ではありません。人間にはこのような業があるのです。人間の命、地球の命には非常に悪質な業があるのです。

生あるものは必ず死する

　生あるものは必ず死する。形あるものは必ず壊れるということを昔の人はよく言いました。これが日本の文化の原理です。

　生きている者は死ぬに決まっているのです。形があるものはなくなるに決まっているのです。

　現在の人間はまだ完成された人間ではないのです。魂として完成された人間ではないのです。肉体的に生きてはいますけれど、魂の命を全く知らないのです。知ろうともしないのです。

　文明が根本から間違っているのです。人間の文明は死んでしまった人間が造り上げたのです。人間は全部死んでしまったのです。文明を造った人間は、誰も彼も全部死んでしまったのです。

　ただ一人イエスが死を破ったのです。イエスが死を破ったという事実の他には、どんな宗教の指導者も、どんな偉い政治家も皆死んでしまったのです。

　皆様は死んでしまった人間の真似をしているのです。学理学説、学問と言いますが、文明の基礎になっている学問ほど当てにならないものはないのです。

　何のために学問があるのか。これが分からないのです。科学が何のためにあるのか。人間を幸福にするためだというでしょう。幸福にすると言いますが、現世の生活が少し便利になったというだけのことです。結局は死んでしまわなければならないのです。

　科学は死に勝つことができないのです。法律も哲学も、肝心の宗教でさえも、命のことを全く勉強していないのです。商売のために経文を利用したり、聖書を利用したりしているのです。

　宗教は結局商売です。本当のことを言わないのです。本当のことを言えば宗教は流行らなくなるのです。だから、本当のことは言いません。

　宗教は人々に幸福を与えるとか、死んでから天国、極楽へ行けるとか言いますが、死んでからというばかな言い方は詐欺です。生きている間には寺も教会もありますけれど、皆様がこの世を去っていきますと、寺も教会もない所へ行くのです。そこで、極楽へ行けなかったから何とかしてほしいと言っても、何ともしょうがないのです。

　死んでから天国へ行けなかったとしても、神父や牧師に文句を言えないのです。宗教はそういういんちきばかりを言っているのです。現世に生きている人間をたぶらかすようなことばかりをしているのです。

　般若心経はそういうことを言っていません。般若心経は現世に生きている人間は空だと言っているのです。このことをはっきり日本人に言いますと、宗教商売ができなくなるのです。だから、宗教では般若心経の本当のことを説こうとしないのです。

　お坊さん自身が般若心経の本当の意味が分かっていないから説けないのです。般若心経の本当の精神が分かれば、現在の寺院仏教は、消えてしまわなければならないことになるのです。

　本当の聖書が分かれば、今の牧師はキリスト教の世界にはいられないでしょう。

　そこで、宗教ではない般若心経と聖書の勉強をしなければならないのです。今まで般若心経と聖書を一つにして勉強することがなかったのです。

　般若心経と聖書を二つ並べますと、宗教にはならないのです。仏教でもキリスト教でもない、従って宗教ではないということになるのです。

　私は皆様を宗教団体へ引っ張り込もうとしているのではありません。宗教から出ることをお勧めしているのです。良いことは良い、悪いことは悪いと言っているのです。皆様が命について真面目な考えを持って頂けないからこうして訴えているのです。

　日本人は般若心経をなぜ愛好しているのでしょうか。なぜこんなに愛しているのでしょうか。不思議なことに日本人は般若心経に書かれている空という字が好きなのです。何となく好きなのです。

　今から千年くらい前の平安文化には、無常観が滲み出ているのです。例えば、鴨長明が書いた方丈記には、人間が家を造って住んでいるのは、水虫が水の泡粒の中に住んでいるようなものだと言っているのです。

　人間がこの世に家を造って住んでいるのは、虫が住んでいるようなものだという。これが無常観です。小野小町は、「花の色は　うつりにけりな　いたづらに　我が身世にふる　ながめせしまに」と詠んでいます。これもはっきりした無常観です。

　このような無常観が日本人に相当強く染み込んでいるのです。無常観が日本には伝統的にありましたが、今はほとんどなくなっている状態です。

　今の日本人は世界第三位の経済大国になった結果、頭がどうかしているのです。エコノミックアニマルと言われて、生活一辺倒になってしまったのです。生活動物になったのです。生活することに一生懸命になっていて、命のことを全く考えないのです。

　今の日本人は命のことを真面目に考えようとしていないのです。日本文化の伝統である無常観がほとんどなくなってしまったのです。

　そこで私たちはもう一度、般若心経を見直す必要があるのです。空という文字が日本人は非常に好きなのです。

　色即是空、空即是色、五蘊皆空とあるのです。五蘊皆空という言葉は、人間の思いは皆間違っているという意味です。こういう言葉が日本人は何となく好きなのです。しかし、ただ好きなだけではいけないのであって、人間の思いが間違っているとしたら、どのような思いが正しいのかということを知らねばならない責任があるのです。

　今の日本人は放っておけば皆死んでしまいます。死んでしまうだけならいいのですが、この世を去った後に霊魂の裁きと地獄が待っているのです。

　人間がこの世に生きているということは、万物の霊長としての生活を送っているのです。自分の自由意志によって、自分の経済事情が許す範囲において、食べたい物を食べたり、着たい服を着ています。好きな家に住むことができるのです。これは貴重な経験です。

　衣食住を自分の意志に基づいて選択することができるということは、すばらしい権能です。皆様はこの事実をどのようにお考えになるでしょうか。

　もし神が肉体を持ってこの地上に現われたら、現在の皆さんと同じ生活をするでしょう。神とは何か。日本の八百万の神は人間が造った神です。乃木希典や東郷平八郎が乃木神社や東郷神社で、神として祀られているのです。

　これは人間が造った神であって、名前だけの神です。本質は神ではない、ただの死人です。

　本当の神とは何かと言いますと、皆様の心臓が現在動いていることです。皆様の目が見えること、耳が聞こえることが神です。これが本当の神です。こういう神を日本人は全く知らないのです。

　キリスト教の人々がこれを知らないのです。キリスト教の人は天にまします我らの神よと祈っています。天にまします我らの神とはどんな神か、実ははっきり知らないのです。経験しているけれどもそれを理解していないのです。

　神という宗教観念を鵜呑みにして、神様、神様と言っているのです。本当の神というのは、皆様の心臓が動いていることです。これが神です。

　人間が死ななければならないのは、命に対する正しい認識がないからです。命を正しく認識したら、人間の魂は死なないのです。

　誰でも肉体はこの世を去ることになります。肉体は消耗品ですから、やがて使えなくなります。肉体がこの世を去るということと、魂が死ぬということは別の問題です。

　命の実体を掴まえたら魂は死なないのです。皆様が命に対する見方を正しくしたら、死ななくてもよいことになるのです。

　そのためには、今までの自分の考え、自分の気持ちを空じてしまうことが必要です。般若心経の空というのは、今までの自分を空じてしまうことを言っているのです。

　聖書を信じるというのは、イエスが復活したこと、イエスが死を破ったことを信じることです。

　イエスはどうして死を破ったのか。イエスはどういう生き方をして死を破ったのか。自分自身を空じること、イエスがどういう生き方をしていたのかを勉強すること、この二つを勉強したら死なないことになるのです。

　魂が完成されるということはどういうことなのか。命の実質を捉えることが、魂が完成されたことになるのです。

　皆様は現在理性と良心によって生きています。理性というのは、無限の真理を求めているのです。本当の真実を理性が求めているのです。

　良心は本当の善を求めているのです。ところが、現在生きている人間の中には本当の善は一つもありません。現在生きている人間は皆死んでいく人間です。死んでいく人間が考えていることは、大なり小なり間違っているのです。間違っているから死んでいくのです。

　人間の理性は無限の真理、良心は最高の善を求めているのであって、これは神を、求めていることになるのです。この神は現在地球を動かしているエネルギーの実体です。これに人格があるのです。

　地球を動かしている壮大な力、森厳な力に人格があるのです。この人格が永遠の真理です。これを掴まえることが本当の命を掴まえたことになるのです。

　神は概念ではないのです。実体です。実存です。例えば、皆様が人間であることが神です。皆様の心臓が動いていること、目が見えることの実体が神です。概念ではありません。

　お茶を飲んだらお茶の味がします。このことが神の働きです。命という言葉と神という言葉は、本質的に同じです。

　日本の八百万の神々は概念です。私は地球が動いている事実を言っているのです。

　死とはどういうことか。神が命です。この命と一つであることが死なないことです。この命と離れたことが死んだことです。

　現在の日本人は神という概念は知っていますけれど、本当の神を五官の感覚で捉えている人がいないのです。これが魂が死んでいる証拠です。

　今の日本人の魂が既に死んでしまっているのです。人間は肉体的に生きていますけれど、魂が死んでいるのです。魂は本当の命を知らないままで生きています。本当の命を知るためには、今までの皆様の考え方を一度空じてしまわなければならないのです。これが必要になるのです。般若心経はこれを言っているのです。

　私たちは毎朝起きて新しい命を経験しているのです。毎日、毎日新しい命を経験しているのです。新しい命を経験していながら、命が分かっていないのです。

　これは文明が悪いのです。個々の人間の責任ではありませんが、「文明が悪いから私は命が分からなかった」という言い訳にはならないのです。文明が悪いから、私はつい何十年間が生きていましたということは、言い訳にはならないのです。

命のルーツ

　文明は当てになりません。今の学校も当てになりません。皆様は毎日新しい命を経験しているのですから、命を経験していることをよく考えれば、命のルーツを見つけることはできるはずです。これができないままで生きているということは、各個人の怠慢であることになるのです。

　生きていながら命を知らないという言い訳は、死んでから言えないのです。生きているということを通して、命のルーツを見つけることができない。これが現代文明の根本的な欠陥です。

　生活のことには一生懸命になっています。科学の進歩、電気製品の開発、通信手段、インターネットの活用は生活のことです。命を経験するためには、生活はもちろん必要です。

　生活のことは学校教育を受けなくても、現世に生きていたら勝手に分かってくるものです。しかし、命のことは勉強しないと分からないのです。

　こういうことを現代文明は全然していないのです。文化文明底抜けバケツ、何が当てやら目当てやら、皆目分からないということになっているのです。

　今の文明はその程度のものです。価値がないというよりはマイナスばかりになっているのです。こういうことを教えようという大学教授は日本には一人もいないのです。

　命のことを考えている宗教家はいません。どうしたらご利益が与えられるとか、どうしたら死んでから天国へ行けるとか、ばかげたことばかり言っているのです。こんなことは皆嘘です。

　生きるということは、肉体的に生きるしかないと人間は考えています。従って、その範囲内で真理が見つけられなければならないと考えている人が多いのですが、これはそう言えなくもないのです。

　人間が肉体的に生きているということについての見方が問題です。生きているということは二重性があるのです。

　般若ハラミタと般若心経にあります。ハラムというのは向こう岸という意味です。ミタというのは到ることです。ハラミタ、つまり彼岸へ行くというのは死んでから行くことではないのです。

　浄土真宗やキリスト教の最も悪い点は、死んでから仏教浄土へ行く、天国へ行くというのです。これは宗教の最も悪い点です。

　仏説阿弥陀経には、阿弥陀如来の名号のいわれを確かに心にとめて念仏申すなら、臨終の時に阿弥陀如来が迎えにきてくれると書いているのです。このことが間違っているのです。

　阿弥陀経の思想は聖書の思想を受け売りしているのです。本当の阿弥陀如来という思想は、仏教にはありません。釈尊はそういうことを言っているのです。

　イエスの孫弟子あたりが世界伝道を開始し、インドにも福音を伝えたのです。インドの人々が聖書の思想に共鳴するところがあったのでしょう。それと釈尊の思想とを結び付けて阿弥陀経を造ったのです。

　阿弥陀経や大無量寿経を書いたのは、釈尊ではなくて龍樹です。龍樹が釈尊の思想と聖書の思想をミックスして仏典を書いたのです。般若波羅蜜多というのは何かということですが、現在皆様が生きている命の中に二重性があるのです。皆様は知らず知らずのうちに、二重性の生き方をしていることになるのです。

　まず固有名詞の人間の生き方をしているのです。役所に届けている戸籍謄本に掲載されている人間です。この世の人間として生きているのです。固有名詞によって社会生活をしているのです。これが人間として生きている皆様ですが、これが全部ではないのです。

　肉体的に生きているということについて、二つの見方があるのです。般若波羅蜜多の般若というのは上智です。上等の知恵です。普通の知恵ではない上等の知恵をいうのです。この知恵を用いると魂が分かるのです。

　戸籍謄本に載っている自分と戸籍謄本に載っていない自分と二通りの自分がいるのです。戸籍謄本に載っている自分は、死んでしまうに決まっている自分です。

　死んでしまうに決まっている自分を自分だと思い込んでいると、その人は必ず死んでしまいます。現代文明は戸籍謄本に載っている人間のことばかりを考えているのです。学校も政府も、キリスト教も仏教も、戸籍謄本に載っている人間しか考えていないのです。

　これは人間の一面のあり方です。波羅蜜多ではない面のあり方を示しているのです。現世に生きている人間のあり方を意味しているのです。これは生活第一主義であって、ガンになったら震え上がる人間です。これは死んでしまうに決まっている人間です。

　ところが、生きているという事実の中には、もう一つの自分があるのです。これは命のルーツに基づいて生きている人間です。

二通りの人間がいる

　文明のあり方に基づいて生きている人間と、命のルーツに基づいて生きている人間と、二通りの人間がいるのです。

　般若波羅蜜多というのは、生きていながら向こう岸へ渡るのです。生きていながら向こう岸へ渡るということが、非常に大きいことになるのです。これは生活の問題ではなくて命の問題です。これを唱導しているグループ、組織は世界中で私たち以外にはないのです。

　私たちのような吹けば飛ぶような三文奴、三文野郎が、こんなことを言わなければならない。これは現代社会は生命的にどんなに貧弱かということを示しているのです。今の人間社会は本当にひどいものです。死んでいく命だけを命だと思い込んでいるからです。

　今の人間は戸籍謄本に載っている自分のことしか知らないのです。困ったことです。これは学校教育の責任でも、皆様の責任でもありません。文明が悪いのです。

　同僚や友人に向かって、目を覚ましなさいと言ってほしいのです。日教組は何をしているのでしょうか。高教組は何をしているのかと言いたいのです。

　人間は二重性があるのです。社会生活をしている、家庭生活をしている肉体人間と、食べて味わっている人間とは別です。これがなかなか分からないのです。

　目で見る、舌で味わう、耳で聞くというのは五官の働きを意味しているのです。これが生きていることです。英語で言いますと、ザ・リビング（the living）です。

　家庭生活をしているとか、社会生活をしている人の生き方は、英語で言いますと、ザ・ライフ（the life）になるのです。ザ・リビングとザ・ライフとは違うのです。英語でははっきり違っているのです。

　生活するということと、生きるということとは違うのです。生きているという言葉を厳密に、正確に申しますと、生きているということが魂を意味するのです。リビングというのは魂のあり方を意味するのです。これは戸籍台帳には関係がないのです。国籍にも関係がないのです。固有名詞にも関係がないのです。

　生きているという実体が魂です。ところが、文明の考え方、文部科学省の考え方によりますと、人間とは肉体的に生活している人間を指しているのです。社会生活を送っている人間を人間と見ているのです。これは戸籍謄本に載っている人間です。

　これは死ぬに決まっている人間です。人々はこのことしか考えていないのです。ザ・リビングを全然考えていないのです。ところが、食事をしている人間もいるのです。どんな役人も、政治家も、やはり食事をしているのです。

　皆様は食べるために一生懸命になって働いていながら、食事をしていることの意味が分からないのです。何という愚かなことかと言いたいのです。これを不手際と言わずに何と言ったらいいのでしょうか。

　イエスは言っています。「あなた方は聞くには聞くが、決して悟らない。見るには見るが、決して悟らない」（マタイによる福音書13・14）。人間は見ることは見るが、見ている意味を全然認めていないのです。

　こういうことを言ったイエスは見事に死を破ったのです。死にたくない人は、死んでしまうに決まっている自分を乗り越えて、死なない命を経験して頂きたいのです。死なない命を経験したい人は、見ているという事実を認めて、その中にある命を見つけて頂きたいのです。

　現世に生きているのは本当の命ではありません。本当の命を見つけるための命です。命のルーツを発見するためのテストケースを今経験しているのです。

　この世で生きているということは、本当の命を見つけるためです。般若波羅蜜多を実行するかしないかを見ているのです。そのテストが毎日行われているのです。

　目で見ていながら、見ているという事がらの実体を認識していないことがいけないのです。般若波羅蜜多というのは、死んでから仏国浄土へ行くということではないのです。生きている状態のままで、生きている命を肉の面からと霊の面からとの両方から、はっきり確認することによって、死なない命が現実にあることを認めることです。これをするのです。

　頭で理屈を覚えてもだめです。体で覚えることです。将棋も囲碁も、剣道も柔道も、体で覚えなかったらだめです。水泳も同様です。頭でいくら理屈を覚えても、体で覚えないと水泳は上達しません。

　体が命を掴まえることの唯一の資本です。親鸞上人が書いた正信偈にある帰命無量寿如来、南無不可思議光というのは、それを言っているのです。生きているからこそ、帰命無量寿如来、南無不可思議光が分かるのです。続いて、法蔵菩薩因位時、在世自在王仏所とあるのです。

　法蔵菩薩が肉体的に生きている事がらを通して、自分自身が阿弥陀如来であることを悟ったのです。ところが、仏教の経典は皆作文です。正信偈は良くできた作文です。

　人間が常識的に生きているだけでは、体で覚えることができません。皆様の五官の働き、目で見ていること、舌で味わっていること、手で触っていることは、命の本物が働いているのです。十本の指先には神の知恵、命の本物が宿っているのです。指先に命が宿っていなかったら、按摩、指圧はできないのです。

　皆様は自分の体に宿っている永遠の命を、少しは考えてください。生きている肉体に永遠の命が宿っているのです。全能の神が宿っているのです。これが分かれば死なない命がよく分かるのです。

　「我は全能の神なり」という神の全知全能の力が、皆様の体に宿っているのです。これを見つけたらいいのです。

　固有名詞の命で生きていたら死んでしまいます。全能の神の命で生きていたら死なないのです。これは当たり前のことです。皆様の舌が味わっている味というのは、天地の命の味を味わっているのです。

　マグロの味は魚屋がつけた味ではありません。魚の味は天然自然の味であって、神の味です。ミカンもキュウリもリンゴも桃の味も、神がつけた味です。それを皆様の舌は、はっきり弁えることができるのです。

　ちょっとこのリンゴは甘いとか、ちょっと酸っぱいとか、この梨は甘さが足りないとか言います。一口食べたらすぐに味が分かるのです。このように皆様の舌は、極めて微妙な味を味わい分ける力を持っているのです。これは皆様の舌に神の御霊(みたま)が宿っている証拠です。この事実を掴まえさえすれば、死なない命が分かるのです。

第二の死

　聖書に第二の死という言葉があります（ヨハネの黙示録20・14）。日本人には第二の死という考え方が全然ありません。第二の死という言葉さえも知りません。聖書を勉強している人でも、第二の死という言葉を知らないのです。

　現世に生きている間は本当の死が分からないのです。地球が存在しているからもやもやしているのです。しかし、地球は永遠に存在するものではありません。地球は造られたものです。造られたものはいつか壊されるに決まっているのです。地球物理というものは、皆様がご承知のように、原子の物理運動によって成立しているのです。

　原子が分子になり、分子が要素になるという形で物質ができているのです。物理運動が物質を造っているのです。

　原子の運動の状態が変化したら、現在の地球は瞬間的に消滅してしまうのです。原子爆弾は原子を破壊するのです。原子を破壊することによって、物質そのものをなくしてしまうのです。これが原子爆弾の原理です。

　こんなことは皆様はよくご存知だと思います。原子爆弾を造った時に、原子を破壊すると、無限の連鎖反応が起きるのではないかという心配が起きたのです。連鎖反応が地球全体にまで及ぶのではないかという懸念が発生したのです。さすがのユダヤ人も非常に警戒したようです。

　物理的にしか物が考えられない状態において、物が分かった人間なら、原子爆弾によって地球全体が、消滅するような恐るべき危険があるかもしれないと思うのが当たり前です。

　オッペンハイマーがそれを考えたのです。原子爆弾の実験をすることさえも躊躇したのです。ところが、連鎖反応が起こらないことが分かったので、核実験をしたのです。

　原子というのは同じ原子が全世界にあるのです。原子の結合によって物質ができているとしたら、原子の結合の原理、または原子そのものの存在原理が変わってくると、地球は瞬間的に消えてしまうのです。

　現在の地球が存在する原子運動の根底的な原理はどこにあるのか。第一原子は水素原子ですが、水素原子が大部分になって物質を造っているのですが、この水素原子の電子と核との関係が変化することになりますと、地球全体の物質状態が崩壊するような危険がないとは言えないのです。

　大体、現在の物理運動の原点は何であるのか。物質が存在するということの原理は何であるのか。これが今の学問では分かっていないのです。

　原子の活動くらいのことは分かりますが。活動の原理が分かっていないのです。だから、今の学問は学問という価値がないのです。命が分かっていないので、原子運動の根本原理が分かっていないのです。

　大きな白い御座（a great white throne）が分かっていないのです（ヨハネの黙示録20・11）。第一の命というのは、現在の物理運動が存在している状態をいうのです。

　現在の世界では本当の善とは何か、本当の悪とは何かということを決定的に定義することができないのです。物質が存在する世界は暫定的な世界であって、仮定の世界です。仮説の世界です。

　物質が存在するというのは、現在の電子運動が現在のままであることを前提にしているのです。現在の物質存在の原理が変更してくると、地球の存在の状態が変わってしまうのです。

　現在の地球存在というものは、非常に危険なものです。何時物質存在の原理が変わるかもしれないのです。物質存在の原理を聖書の言葉で言いますと、神の意志になるのです。神の意志（will）が変化すると、地球は消滅してしまうのです。

　神の意志は原子爆弾よりも強いのです。神の意志をどのように捉えるかということが、皆様の命の根本的な条件になるのです。

　皆様は神の意志を毎日命として経験しているのです。命のルーツというのは神の意志のことです。これを掴まえたら死なない命がはっきり分かるのです。これは難しいことではありません。私みたいな者でも分かるのですから、皆様に分からないはずがありません。

　難しくないのです。今までの常識にしがみついているという悪い癖が、皆様にあるからいけないのです。皆様の常識が皆様の霊魂を縛り上げているのです。だから、私のように自由に考えられないのです。

　原子爆弾でも大きな威力を持っているのです。神の意志が爆発しますと、地球は吹っ飛んでしまうのです。大爆発によって太陽ができた、地球ができたのですから、もう一度大爆発が起きたら、太陽系宇宙は吹っ飛んでしまうのです。これを第二の死というのです。

　今、現在の人間が死んだら黄泉(よみ)へ行きます。黄泉というのは裁きが行われるまでの未決囚の溜まり場のような所です。これを冥土黄泉というのです。まだ判決が下されていない霊魂は、地球がある間は冥土黄泉に置かれているのです。

　地球が崩壊することになりますと、冥土黄泉が消えてしまいます。そうして、冥土黄泉で眠っていた者が全部追い出されるのです。これを第二の復活と言います。これが恐ろしいのです。

　第一の命と第二の命があるのです。般若波羅蜜多というのは、この世に生まれた命ではない、もう一つの彼岸の命のことを言っているのです。彼岸の命は、今生きているままの状態で掴まえることができるのです。私が分かるのですから皆様にも分かるに決まっています。

　ですから、生きている間に本当の命を掴まえて頂きたいのです。目が悪かろうが、頭が悪かろうが問題ではないのです。難しく考えない方がいいのです。気楽に話し合いをしたらいいのです。

善玉と悪玉

　細菌に善玉菌と悪玉菌とがあります。現世において政治、経済、社会の色々な分野において、善玉と悪玉とがあるのです。目に見えるものもありますが、目に見えないものもあるのです。

　これを人間社会全体に考えまして、思想的な善玉、悪玉があるのです。世界の二百近い独立国家の中にも、善玉国家と悪玉国家とがあるのです。善玉、悪玉というのは見方によるかもしれませんが、色々な意味において、善玉、悪玉があるに決まっているのです。

　一体、善玉の本質は何であるのか。悪玉の本質は何であるのか。これが人間に分からないのです。

　例えば、人間の生理現象を助けてくれるものを善玉として、人間の肉体があることが根本的に良いと言えるかどうかです。人間の肉体は物体的なものですが、これはやがてなくなるに決まっているのです。

　物質的な人間の肉体には耐用年数がありまして、いつかこの世から消えてしまうのです。物質は物理運動による現象であって、物質現象はいつか必ずなくなるに決まっているものです。

　物理運動によって物質現象があるのですから、運動が変われば現象が変ってしまうのです。物質現象が消えてしまうこともありうるのです。

　物質が存在するということは、永遠に信頼できるということではありません。

　善玉、悪玉の根本は何処にあるのか。生という問題と死という問題に分かれてくるでしょう。悪玉は死です。善玉は生です。生と死とは根本的にどういう違いがあるのかということです。こういう事になると現代文明では全く盲目です。

　今の学問はこういう問題については役に立たないのです。生活の役に立つことは色々教えてくれますが、命のことは全然数えてくれないのです。善玉、悪玉についての説明はしてくれますけれど、その本質については説明ができないのです。

　一体善玉とは何であるのか。悪玉とは何であるのか。なぜ善と悪が人間の肉体や世界全体の政治、経済にあるかということです。なぜ善と悪の決闘が行われているかです。

　善玉と悪玉とが地球を舞台にして、必死に闘っているのです。軍事的にも、経済的にも、政治的にも、思想的にもすべての分野において善と悪が闘っているのです。

　どうしてこういうことになっているのかということを調べるのが、人間の責任なのです。

　これは難しい問題ではないのです。皆様が生きていることの中に、善玉と悪玉があるのです。皆様の魂が善玉に味方するか、悪玉に味方するかを決めるのです。

　善玉と悪玉が決闘を演じているのが現象世界です。大爆発の結果現象世界は造られた。太陽系の宇宙と地球という惑星が造られたということが、善玉、悪玉の発生原理になっているのです。

　聖書はこれを神と悪魔に分けているのです。生と死と言ってもいいのです。この二つのものが、思想的にも生理的にも皆様の中で渦を巻いているのです。

　皆様の中にはガンになろうとしている細胞が二千個もあるのです。ところが、それを抑えようとしている力もあるのです。地球どころか、皆様の体の中で善と悪が決闘を演じているのです。こういう曼陀羅の中で皆様は生きているのです。

　命という不思議なものを皆様は経験しているのです。だから、命がある間に、この決闘の原因をよく考えていけば、死ぬ命と死なない命とが分かるのです。

　皆様の中で、死ぬ命と死なない命とが激烈な闘いを演じているのです。肉と霊との闘いについて、自分がどういう判断を下すかということです。

　皆様が肉体的に生きているということに係わりすぎると、だんだん悪玉の方へ引っ張られてしまうのです。肉の思いから離れて見るという感覚を持つといいのです。

　般若波羅蜜多というのは、生きることと死ぬこととが葛藤している世界から脱出することを意味するのです。生が彼岸の世界です。死は此岸の世界です。此岸はこの世です。

　この二つの世界が皆様の中にあるのです。生と死があるのです。肉体的に生きているということは、生と死のバランスを取りながら生きているということです。

　地球が存在するということが、生と死とのバランスを取っているのです。地球が生と死のバランスを取っているのです。現在天と地が造られていますが、天と地が造られたということが、善と悪のバランスが始まったということです。

　時間や空間があることがバランスの象徴です。

　地球がある。物質がある。なぜこういうものがあるのか。これが人間の学問では分からないのです。あるということの説明が、現在の学問では絶対にできないのです。あるのはあるということだけです。あるのはあるとしか今の学問では言えないのです。これがユダヤ主義の大欠陥です。

　日本でも幕藩体制がなくなるまでは、存在ということが少しは分かったのですが、明治以降の日本人には、存在ということが全然分からなくなってしまったのです。

　五蘊皆空という理念が分かれば、善玉、悪玉の基本が分かってくるのです。

　この世の中には、生という面と死という面がこんがらがっているのです。これを存在と言っているのです。なぜ物が存在するのか。その原理があるのです。この原理が今の学問では全然分からないのです。これは文明、文化が悪いからです。

　なぜ物が存在するのか。物質がなぜ存在するかが分からないのです。

　文明の貧困をよく考えて頂きたい。そのように文明文化というのは貧困の極まりないものです。貧困極まりないものです。こういう文明を信用しているとひどい目にあうのです。

　皆様の肉体は文明の結果あるのではありません。天地自然が造られた結果、人間の肉体があるのです。

　文明は今の天地自然につまらない理屈をつけて、専門学を造って、訳が分からないようにしてしまったのです。これが近世文明、現代文明です。

　本来の清純な素朴な命は、般若波羅蜜多が何となく分かっているのです。皆様は今生きているということに対して、もっと素朴になることです。

　文明は人間を聡明にするものではありません。人間をだんだん愚劣にするのです。これがユダヤ文明の悪さです。皆様の責任ではないのです。

　現代文明はユダヤ人の独壇場です。ところが、文明が行き詰っているのです。現代文明の行き詰まりは、ユダヤ文明の行き詰まりを意味しているのです。

　文明を信じてはいけない。人間の常識を信じてはいけない。学問を信じてはいけないのです。一切空、五蘊皆空です。人間の学問は五蘊に決まっています。常識も五蘊です。

　学問や常識は人間が生きている間しか通用しません。生きている間だけしか通用しないというのは、中途半端な思想に決まっているのです。こういうものを信じたらいけないのです。どうしたらいいのか。

　もっと素直になって頂きたい。素朴になることです。文明的な垢をできるだけ洗い落とすようにすることです。そうしたら、皆様の本来の叡智、生まれながらの叡智が働いてくるようになるのです。

　皆様には目で見ているという直感力があります。これはすばらしい叡智です。今の学問くらいの知恵とは違います。もっともっと皆様は魂の叡智を見て頂きたい。これを般若というのです。

　魂の叡智が般若です。これは学問くらいのものではありません。現代文明を信じないで、自分の命を信じてください。

　甘いものを食べたら甘いと感じる不思議さです。人間の命は非常に単純、素朴なものです。この気持ちになれば、命がどれほど尊いものかが分かるでしょう。

　皆様は現在、生きているという不思議な経験をしているのです。生きているということは全く不思議なことです。不思議というしか言いようがないものなのです。

　ところが、現代の学校教育がユダヤ主義を基本にしているのです。ユダヤ主義を踏まえなければ、教育ができないようなシステムになっているのですから、これは牧師が悪いのではありません。世界の文明思想の根源が悪いのです。

ユダヤ教の原理

　文明はユダヤ教という宗教の焼き直しです。現世に人間が肉体的に生きているという考えが、ユダヤ教の原理です。これがモーセの掟です。モーセの掟は、肉体的に生きている人間が、神の掟を実行すると考える。この考えが世界全体の文明をめちゃくちゃにしているのです。

　肉体的に人間が生きているという唯物的な考えを、ユダヤ人が持ったのです。ルネッサンス以降の進歩的な考えを言い出したのは、皆ユダヤ人です。こういうユダヤ人が、人間生活に無限の権利があるという妄想を抱いているのです。これが人権主義です。

　人権主義という妄想を抱いたのです。人間は生きる権利があると言い出したのです。ところが、生きる権利があるといくら叫んでも、心臓が止まったら死ぬのです。もし生きる権利があるというのなら、ガン、脳溢血、脳梗塞、心臓麻痺になっても抵抗したらいいのです。

　今の文明は理屈ばかりを並べているのです。命について考えようとしないのです。物質的に存在するものについて、がたがた言っているのです。常識を引っ張ったり、縮めたりばかりしているのです。

　もっと生まれながらの人間になってください。極めて素朴に見られるような人間になってください。イエスは、「幼子のようにならなければ、神の国を見ることができない」と言っています（マタイによる福音書18・2）。

　神の国は幼子がいる所だと言っています。幼子がいる状態に神の国があると言っているのです（ルカによる福音書18・15～17）。今の文明は大人になりすぎて心が歪んでいるのです。英語で大人はアダルト（adult）と言います。アダルターラス（adulterous）になると邪悪そのものです。

　人間の思想は邪悪な思想です。どのように邪悪かと言いますと、自分自身の魂を殺してしまう邪悪さを持っているのです。これが現代文明が持つ毒素です。大人的な毒素を持っているのです。これが文明終末の様相です。

　ユダヤ教の根本原理は、肉体的に生きている人間を極端に主張するのです。そして神と対立しているのです。神と喧嘩しているのです。ユダヤ人は誠の命と喧嘩しているのです。こういうばかなことをしているのです。

　ユダヤ人はこのような思想を世界中に広めているのです。そして日本もだめになったのです。

　文明的に発達すればするほど、生命的にだめになるのです。命が分からなくなるのです。世の中が利害得失を問題にするようになったのです。

　利害得失よりも命の方が大切です。儲かるとか儲からないというよりも、命の方が大切です。命あっての物種、畑あっての芋種です。畑がなければ芋の種を残しておいても仕方がないのです。

　儲かるか儲からないよりも、出世するかしないかよりも、命の方が大切だということを、子供に教えてほしいのです。そうしたら、愚かな学校教育はなくなってしまうでしょう。教育競争というのはユダヤ主義の最も悪いところです。これが日本に現われているのです。

　皆様が生きている命の中に、極めて単純な形で死なない命が含まれているのです。皆様の五官の感覚というのは生まれる前の感覚です。赤ちゃんは生まれながらにして味覚を知っているのです。視覚、聴覚を持っているのです。

　赤ちゃんには生まれる前に命が植えられていて、命がそのまま芽を出したのが心理機能であり、五官の機能です。

　生まれる前の命のすばらしさを、皆様は持っているのです。このことを素朴に見るようになりさえすれば、死なない命を見つけることはそれほど難しくはないのです。

　現代かぶれしていることがいけないのです。現代の文明かぶれ、学問かぶれが最も悪いのです。素朴になることがいいのです。

　本当の学というのは何か。只今の専門学は本当の学ではありません。本当の学は人間存在の本質に係わる認識をいうのです。人間存在の本質の認識を問うことが学問であるべきです。

　皆様の五官に問うてみてください。目で見ている状態、耳で聞いている状態に問うてください。舌で味わっている状態です。皆様は天地自然の味を舌で弁えることができるのです。

　天地自然の味というのは、天地自然の命の味のことでありまして、これを舌で弁えることができるのです。天地の命を舌で味わい分けることができるくらいの五官の力を持っているのですから、素直に素朴に五官を用いるなら、死なない命を見つけることくらいのこと、イエス・キリストが死を破って復活したということを、自分の命の中へ引きずり込むくらいのことは十分にできるのです。

　死を破った人間がいるのですから、この命を自分の中へ入れたらいいのです。死を破った人間を自分の中へ入れたらいいのです。野菜を食べるように、イエスを食べたらいいのです。

　イエスを食べるのも、ご飯を食べるのも、女を食べるのも同じようなことです。素朴に、率直に食べたらいいのです。食べたらそれを自分の命にしたらいいのです。

　キリストを食べてキリストを命にしたらいいのです。逆に言うと、キリストに食べられるということにもなるのです。女を食べたら女に食べられるのです。女は男の食べ物です。完全に食べられてこそ、女は女として女人成仏できるのです。

　皆様は三十年、五十年の間に、驚くべき学の知識を蓄えてきたはずです。五十年も生きていたら、世の中の裏も表も全部分かっているはずです。ところが、さっぱり分かっていない。これは皆様の頭の使い方が悪いからです。そこで地獄が問題になるのです。

　素朴に生きてこの世の中にばちを合わさないことです。この世の中の指導者のいうことを聞かないことです。自分の命を素朴に見るのです。最も単純な生き方が、命を見つけることになるのです。

　禅宗のお坊さんのように座禅を組むことは下手なやり方です。禅宗のお坊さんの座禅というのは、禅に捉われているのです。自分自身が禅の犠牲になっているのです。

　禅の悟りではなくて、生きている状態をそのまま悟るのです。そうすると、分かるのです。

　私たちは毎日新しい命を経験しているのです。ところが、新しい命を経験していながら、自分の気持ちが古い経験ばかりを用いているのです。

　今日という命は今日という新しい命です。ところが、今日の命を経験していながら、昨日までの意識で生きているのです。これが間違っているのです。

魂の目を開く

　魂の目を開くのです。魂というのは、理想と良心が肉体的に生きている状態です。肉体という物質とは違うのです。肉体的に生きているという状態、コンディションが魂です。

　コンディションが現在の唯物主義、物質主義の感覚では分からないのです。現在自分がコンディションを経験していながら、コンディションが分からないのです。

　コンディションとは状態です。状態が本当の生です。皆様が生きている状態が生です。霊です。これは生長の家でいうような霊とは違います。霊友会とか、霊交会でいう霊ではありません。

　日本人が考えている先祖代々の霊とも違います。本当の霊というのは、太陽が輝いていること、地球が自転公転していること、皆様の心臓が動いていることです。これが本当の霊です。

　この霊を自分の命の基準にすることです。そうすると、生が分かるのです。生きるというのは、霊の働きをいうのです。肉体的に皆様の精神が作用していること、肉体的に五官の働きがあることが魂です。

　魂の目を開くと永遠の命が分かってくるのです。花をご覧になると美しいということがお分かりになるでしょう。花を見て美しいと思えることが魂の命になってくるのです。

　ああ美しいなあと思った時に、それが自分の命になっているのです。美人の人を見たら美しいと思う。その時に自分の命になっているのです。美しいと思うことがそのままキリストの命の反射になっているのです。反映になっているのです。

　だから、皆様は自分の顔や姿を美しく見せたいという気持ちが本能的にあるのです。本当の正しさは美しさと大いに関係があるのです。

　美しいということと、おいしいということとは同じです。おいしいというのは何か。すばらしいおいしさだと考える時には、俗に言う、初物を食べれば七十五日命が伸びるということを実感しているのです。これは本当です。旬の初物を食べたらとてもおいしいのです。

　おいしいということを舌で感じたら、その人の魂の本来の命に大きい係わりがあるのです。命が伸びるというのではありませんが、魂に非常に大きい影響があるということです。

　おいしいとか、美しいとか、気持ちがいいとか、楽しいとか、嬉しいとかいうことを感じることが、とこしえの命の入口になるのです。

　今日の文明は、欲望の満足を果たすことばかりを考えているのです。欲望の満足を果たすことは、自分の魂を殺していることになるのです。

　魂を殺す生き方と、魂を生かす生き方とがあるのです。これは聖書を勉強したら分かるのです。これが本当の学です。こういうことは学問では教えてくれません。

　本当の学とは人間存在の本質に係わる認識です。人間存在の本質に係わる認識というのは、おいしいものはおいしいと思うことです。簡単です。これをイエスが教えているのです。そうして、イエスがキリストになったのです。

　キリストというのは、世界全体を物理的にも精神的にも完成する責任者をいうのです。これがキリストです。地球存在そのものがキリストのテストケースです。

　魂とは何か。生まれながらの命で、甘いものは甘い、辛いものは辛いと感じます。この状態を魂というのです。魂の目を開くのです。魂の目を開かないと、生きていても命の値打ちがさっぱり分からないのです。

　欲望的に生きることをやめて、自分の本心が何を求めているかを考えるのです。自分の本心はおいしいものが食べたいと思っている。それなら人にもおいしいものを食べさせるのです。そうすると、自分がおいしいものを食べたのと同じ効果があるのです。

　「欲する所を人に行え」とイエスが言っているのです（マタイによる福音書７・12）。これをしたらいいのです。善事善行とは、自分が好きなことを人にしてあげることです。これがとこしえの命の香りを人に与えることになるのです。難しいことではありません。決して難しいことではないのです。

　皆様はとこしえの命を持っているはずですが、世間の常識にごまかされて、分からなくなっているのです。世間の常識を信じないで、自分の本心を信じるのです。本心、本願を信じるのです。とこしえの命を見つけることは難しいことではないのです。

　魂の目を開いたらいいのです。生まれながらの精神構造、五官の感覚が肉体的に生きていることが魂ですから、魂の目を開くということは世間の常識に引きずられないということです。

　世間の常識は頭の理屈ばかりです。これではなくて、自分の本心の願い、本心の気持ちにできるだけ順応しようと思うのです。

　例えば、私の話を聞いていると、皆様の本心の目が開くのです。そうだろうなあ、そうだろうなあと思うところまでは行くのです。それから先を続けるのです。そうだろうなあと思ったらそのように実行するのです。

　例えば、おいしいものを食べておいしいと思った時の気持ちは、生まれる前の気持ちです。魂が感心しているのです。人間の気持ちとは違うのです。魂の生活があるのですから、これを掴まえるのです。

　おいしいと思ったら、それを人にも食べさせたらいいのです。そうしたら自分の魂の目が開くと共に、人の魂の目を開くことができるのです。

　私はイエスを自分で食べて経験しているのです。そこでイエスを皆様にも食べさせてあげることができるのです。ところが、皆様は一向に食べようとしないのです。

　どうかイエスを食べてください（ヨハネによる福音書６・48～56）。この世で見ること聞くことは、皆食べ物です。女は男の食べ物です。男は女の食べ物です。食べることによって一つになってしまうのです。これが本当の恋愛です。

　神とも恋愛ができるのです。魚の味は神の味です。物の味を知ることは、霊魂の命を知る極めて初歩的なものであって、魂の悟りというものはこういうものです。これが幼子に帰る第一歩になるのです。

　難しいと考えてはいけません。美しいとかおいしいとかということは誰にでも分かることです。誰にでも分かることをまず自分が実行することです。

　情欲とは何かと言いますと、肉体人間の倒錯です。これは重要なことですからよくお考え頂きたいのです。パウロがエペソ人への手紙の四章二十二節で、「情欲に迷って滅び行く古い人を脱ぎ捨てなさい」と言っています。

　情欲に迷うという箇所を英訳では、the lusts of deceitとなっています。直訳しますと、詐欺の情欲となるのです。だから、情欲は倒錯である、嘘であるとなるのです。

　なぜ嘘かと言いますと、愛する人を抱くと性感を感じます。性感というのは情欲ではないのです。性感と情欲を混同しているのです。これがユダヤ主義の悪いところです。

　現在の人間は性感を性欲だと思い込んでしまっているのです。情欲と性感とは違うのです。性感とは男女が触れ合う感覚のことです。命の性(さが)の感覚です。これを性感というのです。

　ところが、人間は肉体的に生きているという考えから、性感を肉体感覚にしてしまうのです。そこで情欲になるのです。性感を情欲と考えるのです。

命の性(さが)

　女が女であること、男が男であることは肉体の問題とは違うのです。肉体的に現われてはいますけれど、命の性(さが)が女を女にしているのです。また、男を男にしているのです。

　性という言葉を性（さが）と読んで頂くと、少し変わった感覚になるのです。

　命には性(さが)があるのです。命の性(さが)はありますが、これは肉体の問題ではなくて、命の本質に関する問題なのです。そこで愛し合っている男が女に触れ、女が男に触れると、非常に強い感覚を受けるのです。これが性感です。

　性感は欲ではありません。欲だと思うことが間違っているのです。

　肉体のために心があるのではありません。心のために肉体があるのです。例えば、醤油のために瓶があるのであって、瓶のために醤油があるのではないということです。

　ところが、瓶に醤油がいっぱい入っている場合には、瓶のために醤油があるような錯覚を持つ場合があるのです。醤油、酒、ワインを入れるために瓶があるのであって、酒やワインは瓶のためにあるのではないのです。

　皆様の精神構造、生理構造、五官を人格と言います。この人格が肉体に入っているのです。皆様が誰かを愛するという行動は人格的な行為です。これは初めから霊なる行いです。

　人格的な行動は絶対に肉ではないのです。人間が人間を愛するのは欲望ではないのです。人間が生きているということは、魂が生きているのですから肉ではありません。

　男女の接触は欲望の接触ではないのです。愛の接触です。現在では欲望の接触になっているという面がないことはないのです。週刊誌がそういうことを大宣伝しているので、愛が欲望だと考え込んでしまっているのです。テレビドラマでもしきりに欲望のシーンを流していますから、人々は愛を欲望だと思い込んでいるのです。これは文明が悪いのです。

　これは倒錯の娯楽です。倒錯の文明です。愛するというのは魂の感覚でありまして、生まれる前の感覚が聴覚、味覚、視覚になっているのです。生まれる前の五官の感覚です。

　男女の接触も生まれる前の感覚です。異性に触れる、命の性が触れ合うという問題を、冷静に、正確に判断すると、生まれる前の感覚であることが分かるのです。生まれた後の肉体感覚と考えるのが間違っているのです。

　人間が考えている情欲は倒錯になるのです。こういう考え違いはセックスだけではありません。食事でも見ることも、清純な命の感覚が欲望的な感覚にすり替えられてしまっているのです。これがユダヤ教の間違いによるのです。ユダヤ文明の間違いによるのです。

　人間は肉体的に生きることが目的ではない。精神的に、人格的に生きることが目的です。従って、情欲という考え方そのものが間違っているのです。

　皆様はユダヤ教の大変大きな害毒を受けていますから、これを切り替えることは簡単にはできません。今までの異性との接触を欲望と考えていたという悪い癖を、できるだけ吐き出してしまうようにして頂きたいのです。

　間違った考えをできるだけ出してしまうようにして頂きたいのです。

　皆様の常識的な記憶は、ぴんからきりまで間違っているのです。だから死ぬのです。死ぬのが嫌だったら、今までの考え方、記憶のあり方を吐き出すように、吐き出すようにするのです。毎日毎日これをするのです。

　皆様が毎日家の中を掃除するように、自分の精神を掃除する癖をつけて頂きたいのです。こうすることが自己訓練として、永遠の命を得るための要件になるのです。これをイエスは山上の垂訓で説明しているのです。

　人間は自分の記憶の間違いによって勝手に死んでいくのです。判断の間違いによって死んでいくのです。情欲の感覚は誰でも持っているから、自分もこれでいいだろうと思うことが間違っているのです。

　世間の習わしに同調しないことです。人がどう思おうと、自分は死なない命を勉強するのだ、この世に生まれてきた本来の魂の清らかさを生活するという気持ちを持って頂きたいのです。

　情欲は倒錯であるということを、よく考えて頂きたいのです。情欲に馴染んでしまうと、その人の霊魂は救われなくなるのです。同時に自分を愛する人も皆死んでしまうのです。

　ばかなことをしているのです。情欲だと思うことによって、人間の人格はだんだんスポイルされていくのです。情欲ではなくて生まれる前の感覚であるという意識を持って、清純さを十分に認識するように、自分に言い聞かせるようにしますと、命の性(さが)が分かってくるのです。

　命の性(さが)は新しい命を経験するためのすばらしいチャンスになるのです。生まれる前の自分の命のあり方、神の愛というすばらしい愛によって、生まれる前のあり方の実体を経験するのです。

　男と女は一つであったというのは、生まれる前の魂の状態のことです。生まれる前に男と女は一つであったのです。その時の状態に帰るのです。これを命の性(さが)として愛し合うことになるのです。

　この世の中の錯覚に同調して、世の中の人々の考え方をしなければならないと思わないで、別の見解で霊魂を洗い清めていくことは、十分にできるということを考えて頂きたいのです。

（内容は梶原和義先生の著書引用）

無の働き

宗教の神なら信じたと思っているだけでいいのです。神を信じたと勝手に思っているだけであって、本当の信仰ではないのです。

　宗教の神は人間の教えであって、イエスは、「おまえたちは神の言葉を真剣に考えないで、人間の教えばかりを信じている」と言っているのです。そのとおりです。

　宗教信心は人間の教えを信じているのです。人間の教えを信じて安心しようと勝手に思っているのです。

　神の言葉が分からないのです。神の言葉とは何なのか。「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」とありますが（ヨハネによる福音書1・1）、これが分からないのです。

神が分からない原因は何かということです。老子の勉強をしている「無為の大神」というグループがあるそうですが、このグループの考えはなかなか正確です。無為というのは何もしないことではなくて、無そのものが働くということです。

　ところが、無の本体が分かっていないのです。無が働くという考えは良い考えですが、無がなぜ働くのかということが説明できないのです。

　無の本質とは何であるのか。働くというのは何であるのかということです。この二つの説明をしなければならないのです。病気というのも無の働きになるのです。病気の本源が分かりますと、病気が消えるのです。病気の本源が分からないから病気が消えないのです。

　無の働きは良い意味に働くこともありますが、悪い意味に働くこともあるのです。人間にとって都合が良い場合と、都合が悪い場合とがあるのです。

　無の働きが必ずしも良いものだとは言えないのです。偶然に通りかかった交差点で、交通事故にあうことがあるのです。誰も事故にあいたいとは思いませんが、偶然そうなることがあるのです。

　人間が現在生きていることの基礎が、無ではないのです。有になっているのです。人間の肉体があると思って考えている場合は、有為です。その立場から見て、都合が良いとか悪いとか言いましても、人間が考えたことが良いものでもないし、悪いと思ったことが悪いのでもないのです。

　病気をすることによって、静かに人生を考えるという時間が与えられることになるのです。この意味では病気をすることが良いことにもなるのです。

　正しいとは何か、悪とは何かということを考えるより、光になるか闇になるかで考えた方がいいのです。

　現在の人間は死ぬことが分かっています。死ぬことが分かっていながら、その命を自分の命だと思っているのです。死ぬに決まっていることが分かっていながら、その命を自分の命だと思っている。また、死ぬに決まっている人間を自分だと思っているのです。だから、死ぬのです。

　死ぬに決まっている命を私の命だと思っているとしたら、私は死を求めていることになるのです。私が信じているように、死ぬことになるのです。死ぬべき自分を自分だと思っている人は、その人の思いどおりに死んでいくことになるのです。

　思いの転換をしなければならないのです。神を信じるというのは、思いの転換をすることです。思いの転換をする必要があるのですけれど、宗教では分からないのです。

　思いの転換はどうしたらいいのか。神を信じるというのは自分を信じないことになるのです。ところが、自分という人間が神を信じると思っているのです。宗教は全部この間違いをしているのです。

　カトリックは非常に悪いものです。イエスが言っていることと全然違うことを言っているのです。プロテスタントも間違っています。どちらも本当の新約の思想を説いていないのです。

神の聖霊が正確に分かっていないのです。分かっていなくて聖書を説くのですからだめです。

　何が何か分からないのは闇にいるからです。死んでいく自分のことを、わざわざ自分だと思い込んでいる。誰から頼まれたのでもないのに、死んでいく自分を自分だと思い込んでいる。

　なぜそう思い込むのでしょうかと言われても、返事ができないのです。死んでいく自分を自分だと思っていたら、自分は死ぬに決まっている。自分は損をするに決まっているのです。これは分かり切ったことです。なぜそんなばかなことを信じるのでしょうかと言われても、返事ができないのです。

　あなたは死にたくないのですかと言われたら、死にたくないと言うに決まっています。死にたくなかったら死んでいく自分を自分だと思うことをやめなさいと言っても、やめられないのです。なぜやめられないかという理由も分からないのです。

　私がお話しすることは分かったようで分からないと言われるのです。いい話だけれども分からないと言われるのです。これが矛盾しているのです。

　死ぬべき自分をなぜ自分だと思うのかということと、いい話だけれども分からないということと、同じことなのです。いい話なら分かるはずです。いい話だと思って心に底では賛成しながら、意識的には分からないと言います。

　潜在意識と顕在意識の二つの意識が人間に働いているのです。その使い分けができないのです。宗教がそれをますます分からなくしてしまうのです。

　無というのは霊です。東洋無というのは無いことではないのです。空と同じ意味です。色即是空の空です。大乗仏教の空は、目に見える形ではないが、目に見えるものの原体になるのです。本源になるのです。

　ところが、原体とは何なのか。これが分からないのです。無の本体が何であるのか分からないのです。これを聖書は、「ありてあるもの」と言っています。

ありてある

　「在りて有る」という言葉は有名な言葉ですから、聖書を勉強している人は誰でも知っていますけれど、その意味が全然分からないのです。これがキリスト教の悪い所です。

　聖書に、「神に来るものは、神がいますことを、必ず信じなければならない」とあります（へブル人への手紙11・6）。

　これを英訳では、for he that cometh to God must believe that he isとなっています。must believe that he isの意味が分からないのです。that he isが分からないのです。こういう文章は英文法にはないのです。大学の英語専門の大学教授が分からないのです。

　神は文法では説明ができないものです。それがI am that I am.という言葉です。that he isはthat I amということです。that he isを日本語の聖書は、神がいますことと訳していますけれど、正確に訳してみますと、彼がイズ（is）であるそのことということになるのです。

　これは旧約聖書出エジプト記の三章十四節の、私は在りて有るものと同時に考えなければいけないのです。それからもう一箇所は、イエスがゲッセマネで問われた時に、「私はそれである」と言っているのです（ヨハネによる福音書18・6）。この時もI amという言葉を使っているのです。

　ヨハネによる福音書、へブル人への手紙、エジプト記を参照していきますと分かってくるのです。

例えば、目の前にコップがあるとしますと、コップが神ではないのです。コップがあるということが神です。これが分からないのです。カントも説明できなかったのです。カントは理性批判という哲学を書いていながら、理性を知らなかったのです。

　物があるということ、存在することを説明することはできるのですが、なぜあるのかという説明ができないのです。物質の説明はできるが、物質がなぜあるのかという説明ができないのです。これがイズ（is）です。

　皆様がI am a Japaneseというとします。日本人の説明はできますが、I amの説明ができないのです。なぜ皆様が日本人でなければならないのかということです。日本人だから日本人だと言われるでしょう。この考え方が人間の考え方なのです。

　無の研究者は、無が働いたから日本人になったというのです。それでは無がなぜ働いたのか。自分が日本人であるように、なぜ無が働くのかと言うと分からないのです。

　仏教ではそれは因縁であると言います。因縁という言い方は逃げ口上です。無の働きは因縁よりもずっと優れた思想ですが、無がなぜそのように働くのかという説明ができないのです。

　無があるのです。これを霊というのです。「神は霊である」とあります（ヨハネによる福音書2・24）。この意味がキリスト教では分からないのです。イズが分からないからです。I amとかhe is, you areというビー（Be）動詞が分からないのです。

　ビー動詞が分からないために神の説明ができないのです。これは新しく生まれて神がはっきり見えてこないと分からないのです。新しく生まれなければ、神の国を見ることができないと言っているのです。これができるとイズが分かるのです。無の本体が分かるのです。これが世界中のキリスト教の人々に分からないのです。

　これが今日本で言われているということは、世界の驚異になるでしょう。だから、私は全世界のキリスト教が皆間違っているという大それたことが言えるのです。これは大変なことなのです。

般若心経は神の約束が全然分からないので、実体的な言い方ができないのです。

　無というのは、空っぽで何もないこととは違います。人間の意識の角度から見た霊が無になるのです。

　本当の霊というのは、人間の意識で考えますと分からないのです。分からないから、神はないと思うのです。神は無であると思うのです。

　人間の肉の意識、即ち人間の常識、知識では霊が分からないのです。そこで、神はあるような気がするけれども、ないと思えるのです。それではないということはどういうことかと言いますと、説明ができないのです。

　ユダヤ人が東洋人でありながら、東洋思想を知らないのです。本当の無が分からないのです。無というのは意識の問題でありまして、空というのは働きの問題です。

　意識的に霊を捉えると無になります。働きとして霊を捉えると空になるのです。無と空と同じだと私がいうのはこういう意味です。

　空というのは働き、動きの対象になるものです。意識としての対象が無になるのです。無眼耳鼻舌身意というのは、五官を意識している状態は無いと言っているのです。また、無眼界乃至無意識界も、あると意識している世界も、意識していない世界もない、即ち意識の対象がないと言っているのです。

　無為の働きが色になって現われている。これが空即是色です。空は働きを意味するのです。無は認識を意味するのです。認識的な語意と動体的な語意との違いです。これは両方共、霊です。

霊を意識的に捉えると無になります。動体的に捉えると空になるのです。神を信じるというのは空を信じることになるのです。神は霊なればというのは、空の方を言っているのです。

　皆様によくお考え頂きたいことは、皆様が現在生きているということです。皆様が本当に命を掴まえようとされるのでしたら、肉の思いを解脱しなければならないのです。

　皆様は般若心経が分かりにくい、聖書は尚分かりにくいと言われますけれど、皆様は肉の思いに負けているのです。

　皆様は肉の思いに取り囲まれているのであって、人間の常識を信じているのです。ところが、人間の常識は、死んでしまうに決まっている自分を自分だと思っているのです。これを信じないようにして頂きたいのです。

　肉体的に生きている自分が本当の自分ではないことが分かりますと、死なない自分が分かるのです。肉体的に生きている自分を自分だと思わないという固い決心をしますと、肉体的に生きていない自分が分かってくるのです。これをまず実行して頂きたいのです。

　今の皆様の状態ですと、生きていながら、命が分からないままの状態で、みすみすこの世を去って行かなければならないことになります。これが恐いのです。

　皆様の脳細胞には本当の神を認識するだけの能力があるのです。ありながらそれを使っていない。皆様の能力は眠っているのです。なぜ眠っているのかというと、この世に生きているのが自分だと思い込んでいるからです。自分の肉の思いによって、脳細胞が眠りこけているのです。これが恐ろしいのです。

　死なない命の勉強は難しいと言えることかもしれません。聖書に、「眠っている者よ。起きなさい」という言葉があります（エペソ人への手紙6・14）。「今は眠りより覚めるべき時である」という言葉もあります（ローマ人への手紙13・11）。

　また、イエスがゲッセマネで、「目を覚ませ、かつ祈れ」と言っています（マルコによる福音書14・38）。眠っているということが、人間の意識の不完全性を現わしているのです。

　今の自分の意識を呑み込んでしまいますと、自分自身が自分を束縛してしまうことになるのです。眠ったままの意識が自分を束縛してしまうのです。

　皆様は今の人生が夢であることがお分かりでしょうか。今の人生は夢です。はっきり夢です。「老人たちは夢を見るであろう」と言っているのです（使徒行伝2・17）。生きていることが夢だということをはっきり自覚するのです。ここから出発するのです。

　現世に生きていることは、やがて消えるに決まっているのです。皆様は、肉体的に生きていることは消えるに決まっていることを知っていながら、これを始末しないのです。これがいけないのです。

死んでいく自分を逆手に取る

　死んでいく自分を逆手に取って、これを利用したらいいのです。自分自身の人生が死んでいくに決まっているとしたら、今生きていることは、やがて消えるに決まっているのです。やがて消えるに決まっているということは、今生きていることが夢であることになるのです。

　死んでしまうに決まっている命を逆に利用するのです。死んでしまうに決まっている自分をこき使ったらいいのです。そうすると、今生きていることが夢であることがはっきり分かるのです。今生きている自分の意識を信じる必要がなくなるのです。

　今私が生きていることを有難いと思ったとしても、有難いと思うことが夢ですから、有難いと思うこと自体がばからしいことなのです。

　このように肉の思いを逆に利用しますと、霊の思いが分かってくるのです。これをして頂きたいのです。

　死ぬに決まっている命、やがて消えるに決まっている夢は本当の自分ではないのです。人間は現象感覚、生活感覚で夢を見ているのです。これを聖書は肉の思いと言っているのです。肉の思いは死であるということは、肉の思いにこだわっていると、必ず死ぬということです。

　皆様はこのことをよくご存じでしょう。今のままで生きていたら必ず死ぬということは分かっているでしょう。これを逆に利用するのです。そうすると、死んでしまうに決まっている自分を自分だと思うことは、ばからしいことだということになるのです。そうして、もう一つ別の自分を見つけようという考えを持って頂きたいのです。

　人間は自分が死ぬに決まっていることが分かっていながら、死ぬに決まっている自分の気持ちに引きずられていることになっているのです。なぜこんなばかなことを人間はするのでしょうか。

　死ぬに決まっている自分の気持ちに自分がついていくのです。こんなことをする必要がないのです。

　なぜこんなばかなことをするのかと言いますと、皆様は生活のことを見過ぎているからです。生活している自分を見過ぎていますと、死んでしまう自分が自分の本体になってしまうのです。これがユダヤ人のトリックです。

　ユダヤ人は現世における自分を自分だと思い込んでしまったのです。現世に生きている自分は生活している自分です。生活している自分を自分だと思い込んでしまって、そういう思想を全世界に流したのです。これが旧約時代のユダヤ人の悪い癖です。これが全世界に広がっているのです。

　その結果、全世界の人間は全部ユダヤ主義になってしまったのです。私はユダヤ主義と喧嘩しているのです。皆様の中にもユダヤ主義があるのです。生活主義というのはユダヤ主義のことです。

　ユダヤ人は現世に生きている自分しか認めようとしないのです。これが人権主義です。学問主義です。宗教主義、享楽主義です。この四つの主義になって現われているのです。

　享楽、宗教、学問、人権という四つの柱が、現在の世界の人間を引きずり回しているのです。これは全部ユダヤ人の発明です。ひどいことをしているのです。

　これを叩き壊さなければいけないのです。日本からどうしても新しい聖書の見方を発動しなければならないのです。カトリックでもない、プロテスタントでもない、全く別の新しい見方が必要です。

　カトリックもプロテスタントも、広い意味でユダヤ教の中に入るのです。私たちはユダヤ教の悪さから逃れなければいけないのです。これが本当のイエスの言葉です。

　今の文明は完全に行き詰っています。政治的にも、経済的にも、社会的にも学問的、生活的にも完全に行き詰っているのです。

　行き詰った文明の活路を見い出すとしたら、イエスを見直すことしかないのです。イエスは何かと言いますと、本当の皆様です。

　人間が霊的に生きていることがイエスです。これがもう一人の自分、本当の自分です。皆様が現在自分だと思っているのは、ユダヤ教的な自分です。現世主義、生活主義の自分はユダヤ主義の自分です。

　生活主義は全部ユダヤ教的です。生命主義がイエスです。世界にはこの二つの生き方しかないのです。ごちゃごちゃとたくさんの学問、教えがあるように見えますが、煎じ詰めたら生活か命のどちらかになるのです。

　どちらかを選択したらいいのです。複雑に考えることをやめて、生活か命かどちらが大切なのかを決めたらいいのです。

　イエスが分かりますと、家族とはどういうものかが分かってくるのです。イエスとは霊なる自分のことです。聖書に、「彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである」とあります（ヨハネによる福音書1・12）。

　イエスを受けるのです。イエスをレシーブするのです。これはイエスの名を受け取ることです。イエスという名前が死なない命を意味するのです。実は皆様の本体がイエスなのです。世間並に通用する自分と、神にだけしか通用しない自分と両方あるのです。

　世間並に通用する自分というのは、やがてこの世を去る自分です。こんなものに未練たらしくしがみついていてもしょうがないのです。

　生活的な自分は死ぬに決まっている自分です。神に通用する自分は、死なないに決まっている自分です。これはイエスの復活によって証明されているのです。

　イエスをもう一度見直すのです。文明を新しくする方法はこれしかないのです。ナザレのイエスをもう一度見直すことです。そうすると、老子も孔子も、釈迦も皆生きてくるのです。

　イエスを見失うと、老子も孔子も、マホメットも皆死んでしまうのです。老子、孔子、マホメット、釈迦は、イエスのある断片を説いているのです。

　命は現世に生きているいのち、生活している人間の命です。人間の命はやがて死んでしまうものです。生は現世だけの命とは違います。生活とは死なない命を生きていることをいうのです。ところが、現在の人間は死なない命を生きていない。だから、生活ではなくて命活というべきなのです。

　今の人間は現世に生きるために働いているのです。ところが、日本語では命活とは言わずに生活と言っているのです。ここが日本語の優れたところです。

　生というのは人間のリビング（living）の本質を指しているのです。リビングの本質は神そのものです。いつも申し上げているように、皆様の心臓が動いていることが神です。心臓が動いているというプラスのエネルギーの本質が生です。

　命はプラスとマイナスが均等に働いている状態をいうのです。純粋のプラスのエネルギーだけではありません。

生

　生というのは人間のリビングの本質です。例えば、目が見えること、耳が聞こえることの本質です。これがイエスという言葉になっているのです。イエスという固有名詞になるのです。これがカトリックでいうイエー・ズー・スーということです。カトリックはイエー・ズー・スーと言っていながら、その説明ができないのです。

　イエー・ズー・スーというのは、神の働きの実体がそのまま自分になっているという意味です。これが皆様の本体です。皆様の生です。これがリビング・ソールの実体です。生きている霊魂の実体です。

　生きている霊魂の本体は生です。生そのものです。生を生かすことが生活です。だから、聖書の勉強をすることが本当の生活です。

　ところが、現在の人間はリビングの本質を考えないで、肉体的に生きている自分が生活しているのです。肉体的な自分が料理を作る。洗濯をする。会社へ行って働いていると言っているのです。これは命活の方です。生活しているとは言えないのです。命を保つために生きているのですから命活しているのです。

　料理を作る。家事をする。会社で働くというその能力は、生の本質が働いているのです。生の本質がなければ料理はできないのです。もちろん会社で仕事はできません。

　生の本質は何かというと、ザ・ネーブ・オブ・ゴッド（the name of God）というのです。これがロゴスです。理性の本源はロゴスです。ロゴスは神なのです。

　私たちが生きていることがリビングであって、リビングが神の実体です。神が分からないという人がいますが、神が分からないということは、自分が生きていることが分からないのです。生きていることの実質が分からない人は、地獄へ行くしかないのです。だから、生きていることの実体を、どうしても掴まえなければならないのです。これを掴まえたら死ぬことがなくなるのです。死ななくなるのです。

　こういう聖書の見方は世界中で何処にもないのです。本当のイエスの見方、イエスの復活の捉え方が、現在のキリスト教の仲間にはありません。それを本当に経験している人はいません。

　それによく似たような理屈をいう人はいるかもしれませんが、本当に経験している人はいないのです。なぜかと言いますと、般若心経が分からないからです。

　日本人の場合には、般若心経と聖書を両方勉強しないとどうしても分からないのです。聖書がなければ、般若心経は分かりません。また、般若心経がなければ聖書は分からないのです。両者には不思議な関係があるのです。

　聖書が分からない人は般若心経の実体が分からないのです。般若心経の空は何処から来ているのかと言いますと、明けの明星を見ている思想から来ているのです。

　明けの明星というのは、イエス・キリストのことです。明けの明星を見ない人は、本当の空が分からないのです。だから、仏教の人々には空が分からないのです。

　釈尊は明けの明星を見ました。イエス・キリストを見たのです。明星という格好でイエス・キリストを見たのです。だから、釈尊の空は本当の空です。

　今の禅宗のお坊さんの空はだめです。明けの明星を見ていないからです。こういう見方をしている人は世界に誰もいません。神は日本から新しい光を世界に発信しようとしているのです。私はそのための神の使いになっているのです。

　聖書を正しく見ようと思ったら、どうしても般若心経を理解しないといけないのです。般若心経を正しく見ようと思ったら、明けの明星が分からなかったらだめです。

　ですから、日本人でなかったら本当の聖書の見方ができないのです。般若心経を真面目に勉強しようとしている人は、今のところ日本人だけです。日本人以外に般若心経の勉強をする民族はいないのです。外国にも、個人として一人や二人はいるかもしれませんが、民族として般若心経を愛好するのは日本人だけです。

　行き詰った文明を打開する方法は、ナザレのイエスを再発見するしかありません。これ以外の方法では、世界に新しい光を与えることはできません。

　ナザレのイエスを再発見することなら、共産主義社会でも通用しますし、欧米社会にも通用するのです。ユダヤ人も結局頭を下げなければならないことになるのです。皆様も頭を下げることになるのです。

　皆様は自我意識という兜を被っているのです。だから、死ぬのです。兜を脱げば死なないのです。皆様は明日をも知れない命に生きているのです。だから、そのうちにとのんびり言っていることはできないのです。

　今まで皆様が自分だと考えていたのは、世間並に通用する固有名詞の自分です。これは死ぬに決まっているのです。死ぬに決まっている自分が冠になっているのです。だから、イエスという人を被ったらいいのです。

　イエスを被るのは帽子を被る要領でいいのです。帽子を被るのは苦手という人がいますが、自分で被りこなすという気持ちがあればできるのです。帽子を意識しないで、帽子をマスターするという気持ちで被るのです。そうすると、似合ってくるのです。

　フランク・シナトラはそれが上手でした。帽子を被る名人だったのです。

　イエスの名、ザ・ネーム・オブ・ジーザス（the name of Jesus）を被りこなしたらいいのです。帽子を被るようにキリストの福音をこなしたらいいのです。そうすると、キリストが自分のものになるのです。キリストが自分のものになりますと、自分が知らぬ間にキリストのものになってくるのです。

　帽子を被るのは固有名詞の自分ではありません。自分の本質が被るのです。生きている事実が被るのです。魂が被るのです。

　魂がイエスという帽子を被るのです。霊魂の場合には自己満足だけではだめです。霊魂は全世界の人間に共通しているのです。全世界に共通する客観性の自分になってしまうのです。これがイエスの福音を被りこなすのです。そうすると、誰にでも通用するものになるのです。

　パウロはこれを実行したのです。私もそれを現在実行しているのです。傲慢と言われるかもしれませんが、私がこの役目をすることになったのです。これが末の世の現象です。

　この世に生きている自分は、三次元に生きている自分です。霊の自分は無次元に生きているのです。次元に関係がないのです。空であり、無である自分になるのです。無次元と言ってもいいですし、空次元と言ってもいいのです。

イエスに同化する

　イエスに同化してしまうのです。また、イエスが私と一つになるのです。イエスが私の中に入ってしまうのです。私がイエスの中に入るのです。

　イエスは、「私のもとに来なさい」と言っています（マタイによる福音書11・28）。これは英訳では、come unto me.になっています。これは私の中に入って来なさいという意味です。

　私の中に入ってしまいなさいと言っているのです。これをしますと、自分の本体がそのままイエスのネームであることが分かってくるのです。これは田中さんや加藤さんという固有名詞ではない、もう一つのネームです。もう一つのネームが分かってくるのです。これがリビング・ソールのネームです。生きている霊魂のネームです。これを掴まえて頂きたいのです。

　田中さんが田中さんでなくなったらいいのです。

　阿弥陀如来の名号の意味を本当に知ろうと思いますと、イエスの名号が分かったらいいのです。阿弥陀経と大無量寿経からこれが説明できるのです。阿弥陀経には阿弥陀如来の名号のいわれを弁えて念仏申せと言っているのです。そうしたら、この世を去る時に、如来がお迎えに来てくれるというのです。このことが真宗で分からないのです。

　本当の阿弥陀如来の名号のいわれは、今の真宗では絶対に分かりません。

　今全世界の人間が注目しているのは日本です。色々な意味で日本に注目しているのです。

　東洋の文明と西洋の文明とを完全に融合しているのは日本です。日本でなかったら、東洋文化と西洋文化とが一つにならないのです。日本でなかったら、本当の霊魂の位置を正確に示すことができないのです。これができるのは日本だけです。

　アメリカやイギリスで、キリスト教が間違っていると言ったら生きていけないでしょう。日本ではキリスト教が間違っていると言っても、仏教が間違っていると言っても、誰も怒りません。天皇制が間違っていると好きなことが言えるのです。こんな自由な国はありません。

　今まで生きてきた皆様の人格は、皆様の人格の本質ではないのです。これは形質です。形があるという意味での質です。

　現世では田中さんは田中さんでなければならないのです。私は私でなければならないのです。これは現世の約束事です。

　ところが、神の国へ入ることになりますと、形質に関係なく霊質になるのです。「神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまことをもって礼拝すべきである」と言っているのは（ヨハネの福音書4・24）、このことなのです。

　日本的に申しますと、戒名になるのです。キリスト教では霊名と言います。カトリックがいう霊名は宗教質、教質をいうのです。

　カトリックは教質の人格を言いますが、神の国では霊質の人格をいうのです。現世では形質の人格をいうのです。霊質と、教質と、形質の三種類あるのです。

　霊質は宗教に関係がありません。現世のしきたりにも関係がないのです。神と皆様との直接の繋がりになるのです。これを発見すればいいのです。

　人間の霊質は阿弥陀如来の名号と同じものです。阿弥陀如来の名号というのは、大無量寿経を見れば分かるのです。

　大無量寿経によれば、法蔵比丘（ダルマカラー）というお坊さんがいまして、その人が悟りを開いて、自分の存在の秘密を見極めたのです。

　存在の本質は何かと言いますと、リビングのことです。人間は形質が本体ではなくて、霊質が本体です。

　法蔵比丘というのは釈尊の別名ですが、お釈迦さんが仏になったということを、大無量寿経では説いているのです。

　大無量寿経を書いたのは、龍樹菩薩であると言われていますが、釈尊とは関係がないのです。三部経については阿弥陀経と大無量寿経は信用できますが、観無量寿経はどうも信用できないもののようです。極楽の光景ばかりを書いているからです。

　大無量寿経は参考になるのです。これは新約聖書を読むための参考になるのです。新約聖書がよく分かりますと、大無量寿経はお伽話みたいなものになるのです。

　大無量寿経を説明しますと、法蔵比丘というお坊さんがいますが、これは釈尊の若い時の名前になっているのです。この人が自分自身の本体を悟ったのです。

　釈尊いうのは形質です。釈尊という名前に関係がない自分が生きていることの実質が、法蔵比丘であると悟ったのです。

　どのように悟ったのかと言いますと、命と光を悟ったのです。自分はいない。自分の本質は命と光であるということを悟ったのです。

無量寿と無量光

　命は無量寿如来という如来さんです。光は無量光如来です。無量寿が命、無量光が光です。無量寿という仏と無量光という仏の二つの仏が自分の本体であると釈尊は悟ったのです。

　どちらも無量です。無量というのは阿弥陀ということです。無量がなぜ阿弥陀になるのかと言いますと、無量というのは無限無量です。

　阿は無です。弥陀は限りです。阿弥陀は無限、無量です。無限の命と、無限の光がある。光とは知恵のことです。法蔵比丘は自分の内に無限の命と無限の知恵があることを悟ったのです。だから、自分は自分ではないことが分かったのです。これを如来というのです。

　この世に生きている固有名詞の人間は人間ですが、霊魂は真如のごとく来たのです。真如がこの世に来たのです。これが魂です。真如とは神の当体です。神にかたどって人を造ったと聖書にありますが（創世記1・26）、これが真如です。如来です。

　神のごとく人を造ったのです。これが如来です。だから、人は無量の命と無量の光（知恵）を持っているのです。これを法蔵菩薩は悟ったのです。自分の本体が無量寿と無量光であることを悟ったのです。そこで、法蔵比丘が阿弥陀如来になったのです。これが阿弥の名号のいわれです。

　神が分からないという質問があります。どうしたら分かるのでしょうかということです。宗教の神ならただ信じたと思っていたらいいのです。

　宗教の信心は信じたと勝手に思っているだけであって、本当の信仰ではないのです。宗教の神は人間の教えです。人間の教えを信じて安心しようと勝手に思っているのです。

　人間は神の言(ことば)が何なのか分からないのです。「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」とありますが（ヨハネによる福音書1・1）、これが分からないのです。

　神の説明よりも、神が分からない原因についてお話ししなければならないのです。

　結局、人間の本体は肉体を持っているものではない。また、家庭の一員であるとか、会社員であるということが人間ではない。人間とは生きていることを指しているのです。これをよくご承知いただきたいのです。

　「初めに言あり、言は即ち神である。この言に命がある」とあります（同1・4）。

　神の言に命がある。この命が人の光であるとあるのです。これが分かったら、大無量寿経の説明は何でもないのです。ところが、これができる仏教学者もいませんし、キリスト教の先生もいないのです。

　阿弥陀如来とイエスとどう違うかということです。理屈でいうと同じになるのですが、違うのです。阿弥陀如来とイエスと何処がどう違うのか。阿弥陀如来は抽象人格です。歴史的に生きていた人ではないのです。

　釈尊は歴史的に生きていました。釈尊自身は如来になったと言っていないのです。龍樹菩薩が後から勝手に付け加えているのです。

　龍樹がお釈迦さんを金縁の額に入れてしまったのです。龍樹はいいかげんな者です。お釈迦さんを祀り上げてしまったのです。

　日本では日蓮大上人と言って、三メートルの大きな金縁の額の中に入っているのです。親鸞大聖人というと五メートルくらいの額に入っているのです。皆金縁の額の中へ入れたのです。これを宗教観念というのです。宗教観念が悪いのです。

　イエス・キリストの名号というのは、イエス如来と言ってもいいのです。阿弥陀如来がありますから、イエス如来があってもいいのです。イエスというのは神の言が命となって現われたものです。これが生みたまえる一人子です。

　生みたまえる一人子の他に、本当の命はないのです。イエスは歴史的に存在していたのです。阿弥陀如来は歴史的にいなかったのです。龍樹が勝手に造った抽象人格です。抽象人格は宗教にしかならないのです。

　イエスはこの世に生きていたのですから、イエスが分かると皆様とイエスが同じであることが分かるのです。阿弥陀さんはいくら分かってもだめです。

　観念と霊魂とは違います。霊魂は実体的にあるのです。実体的にあるものでなければ、霊魂は救われないのです。

　カトリックの悪い所は、実体的に存在するキリストを捉えていないのです。イエス・キリストを偶像にして崇めているのです。カトリックのキリストは金縁の額に中に入っているのです。カトリックのイエスとナザレのイエスとは全く違うのです。

　カトリックのイエスはあまりに美化してしまったために、小便をしないイエスになってしまったのです。

　皆様は小便をします。小便をする皆様には、小便をするイエスが分からないとだめです。小便をするイエスでなかったら、皆様は絶対に救われません。この説明がカトリックではできないのです。カトリックのキリストは偶像です。祀り上げた偶像です。マリアも祀り上げているのです。こんなものはだめです。全く偶像です。

　カトリックの公教要理は、最初のページから最後のページまで全部間違っています。プロテスタントも間違っているのです。ルーテルも間違っているのです。信仰が全く分かっていないのです。カトリックに反抗したいために、人間は信じることによって救われると言ったのです。これがルーテルの大欠点です。

　カトリックに反抗することがルーテルの目的であって、人間に正当な命を与えることができなかったのです。これがプロテスタントの間違いです。

　イエスは大先生ではなかったのです。ただの大工の青年でした。食事をして小便をしたのです。このイエスでなかったら、私たちがこの世に生きている苦しみが分からないのです。カトリックは小便をするイエスを一言も言っていません。

　イエスは、「情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである」と言っていますが（マタイによる福音書5・28）、カトリックはこの箇所を説明できないのです。絶対にできないのです。

　姦淫の念を抱いて女を見るとはどのように見るかです。この説明がカトリックではできないのです。大体、男は姦淫の念を抱かずに女を見ることができるのでしょうか。宗教の指導者と宗教信者は全部偽善者です。自分を偽っているのです。体裁の良いことばかり言ってごまかしているのです。

　二○一八年現在で、世界に七十六億の人間がいるのですが、なぜ七十六億の人間が存在しているかということです。田中さんや加藤さんという固有名詞を持った人間がいると思えるのです。これは一体何を意味するのかということです。これは日本という国がなぜあるのかということと同じようなことになるのです。

　人間歴史が六千年経過したと言いますが、なぜ六千年の人間歴史が経過したのかということです。釈迦がなぜインドに生まれたのか。これには重大な意味があるのです。こういうことが分からなければ人間の救いは実現しないのです。

　霊魂の救いが具体的に実現しないのは、全部観念です。皆様はこの世の人間として生きているのですが、本当はイエスになるのです。

　仮の自分と本当の自分がいるのです。これがどういう関係になっているのかということです。仮の自分がなぜあるのか。

　人間が生きているということに、人間と魂があるのです。これはイエスによらなければ両方共説明ができないのです。何のために人間が生きているのかと言いますと、神の約束が展開するためでありまして、天地創造をしっかり勉強して頂く必要があるのです。

　天地の創造ということは聖書にしか書かれていないのです。現在の地球が存在するということは何のためか。何のために肉体存在の人間が存在しているのか。これは般若心経で言いますと、色の世界になるのです。魂は空の世界にいるのです。

　空の世界と色の世界があるのですが、色がなければ空の説明ができないのです。空がなければ色の説明ができないのです。

　皆様が生きているということは、歴史の流れの中に生きているのです。人間という奇妙なものが存在するということです。理性を持って神があるとかないとか、悟るとか悟らないとか、妙なものを自問する人間という奇妙なものがいるのです。こんなものが何のためにいるのだろうか。

キリストは神の地球計画

　これはキリストという地球計画によるのです。キリストというのは地球計画のことです。神の地球計画という言葉の中に、あらゆる意味での実存在と、仮存在とが含まれているのです。

　キリストというのは神の地球計画のことです。地球計画というのは宇宙計画の本質です。現在の学問はすべてユダヤ人が造り上げたものでありまして、ユダヤ人的な思想によって造り上げたものです。

　肉体的に存在するのが人間だという思想を案出したのがユダヤ人です。これがタルムードの思想です。モーセの掟をユダヤ人が解釈した。これがタルムードになっているのです。

　仮に存在する人間がモーセの掟を解釈したのです。実存在の人間がモーセの掟を解釈したのがイエスです。これが山上の垂訓になったり、他の所に出されているのです。モーセの掟の解釈に二種類あるのです。

　タルムードとイエスしかないのです。イエスは新約聖書になって現われているのです。タルムードがユダヤ教になっている。ユダヤ教が色々な形になって現代文明を造っているのです。学理学説もユダヤ教から流れているのです。

　死んでしまうに決まっている人間が考えますと、目的がなくなってしまうのです。今の学問には目的がありません。もし人間の学問にはっきりした目的があれば、文明に理想が設定されているはずです。

　学問に目的がありませんから、文明に理想が立てられないのです。だから、今の人間は仮存在にならざるを得ないのです。

　今の全世界の人間は全部仮存在です。肉の思いで生きているからです。神は肉なるものを造っているのです。万物はすべて仮存在でありまして、肉です。これを般若心経は色即是空と言っているのです。万物は肉だから仮存在です。これが色です。

　なぜ色の世界があるのかと言いますと、空を現わすためにあるのです。空とは何かと言いますと、万物が造られる前の世界のことです。

　天地創造の前には真実があったのです。その時の真実の世界は幼稚な世界でした。そこで、闇の反逆が起きたのです。天使長であった悪魔が神に反逆したのです。幼稚な世界でしたから、悪魔が出現したのです。

　これが創世記に書かれているのです。「地は形なく、むなしく、闇が淵のおもてにあった」とあるのです（1・2）。悪魔がこの世に住み出したということです。そこで、「神の霊が水のおもてを覆っていた。神は『光あれ』と言われた。すると光があった」（同1・2、3）という状態で天地創造が始まったのです。

　幼稚な世界というものは、地は形なくむなしくという言葉で現わされているのです。幼稚な世界があって死が出現したのです。そこで、生もまた出現することになったのです。

　もし死が現われなかったら、生は現われなかったのです。死が現われたので、生が際立って出てきたのです。生は初めからあったのですが、死が現われるまでは、生という言葉さえも使われなかった状態であったのです。

　生という言葉は死に対する相対的な言い方です。黒がなければ白はないのです。白ばかりの世界でしたら、白という必要がないのです。黒が出現したので、初めて白という言葉が出てきたのです。

　死が仮の命として発生したのです。現世における仮の命が死という格好で現われた。「闇が淵のおもてにあった」というのはこれを意味するのです。

　闇が淵のおもてに座り込んだということが、死が仮の姿で仮の命という格好になったのです。そこで、神が光あれと言われたのです。本当の命を出さねばならないことになってきたのです。

　光あれと神が言う前に、仮の命が座り込んでいたのですから、現象世界が現われざるを得なかったのです。

　「肉なるものが先にあって、霊なるものが後から来た」と聖書は書いていますが、田中さんとか、加藤さんという固有名詞の皆様がいなければ、皆様は自分の魂を発見することはできないのです。

　田中さんとか加藤さんというのは仮の存在です。このことを悟りますと、皆様は仮の存在の自分から出てしまって、実存在の自分の中へ入らなければならないと考えるはずです。

　イエスというのは何か。大工の青年として生まれたのは仮の存在でした。仮の存在のキリストは肉体を持っていた。仮の存在と同じ人間という格好を持っていたのです。

　この人が実存在の内容を備えていたのです。阿弥陀如来で言いますと、無量寿如来と無量光如来とを持っていたのです。イエスの本体は命と光でしたが、目に見える形が大工の青年として生まれてきたのです。しかも、人間としては最も悪い条件の下に生まれてきたのです。

　イエスほど悪い条件の下に生まれた人はないでしょう。父親がいない状態で生まれてきたのです。これは当時のユダヤ社会としては最悪の状態です。強姦されて生まれたと言われたのです。

　イエスは最悪の状態で生まれたのです。父親がいないということは色々な説明ができるのです。イエスという人間はいなかったという説明もできるのです。いたという説明もできるのです。どちらも説明ができるのです。

　イエスという命の本質を信じることができる人は、この世界が始まる前に神と係わりがあった人なのです。

光の人間と闇の人間

　人間は二種類の筋の人間がいるのです。光の筋の人間と、闇の筋の人間です。この二種類の人間がいまして、皆様はどちらでもよろしいように考えたらいいのです。

　この世に生きているのが自分だと思いたい人は、闇の筋の人間になるのです。この人は死ぬ人間です。

　光の筋の人間は、この世に生きている自分を本当の自分とは思わないのです。仮に生きていると考えられる人は光の筋の人間です。二通りの人間がこの世界にはいるのです。

　誰も彼も全部の人が、イエスが自分の本体だと分かるのではありません。イエスが自分の本体だと思い込める人は有難い人なのです。こういう人はイエスがもう一度この世に現われたことになるのです。

　こういう人はイエスのことがよく分かるのです。悪いことも良いことも分かるのです。

　イエスになぜ父親がいなかったのかという説明もできるのです。カトリックは、処女降誕は秘密の秘密として一切説明しませんが、実は聖書はすべて説明できるのです。聖書六十六巻は命の倉ですから、どんなことでも説明できるのです。

　人間の歴史の流れのあらゆることが説明できるのです。大から小に到るまで、善から悪に到るまで全部聖書に書いてあるのです。何でも説明できるのです。どんな団子理屈でも人間が造れる理屈は、全部聖書の中にあるのです。

　皆様の中にはばかな皆様と利口な皆様とが、一対になって生きているのです。闇の自分と光の自分とが一対になって、一人の人間の中にあるのです。

　肉体を持っているイエスは、大工の青年として説明ができるのです。肉体ではない霊なる存在としての説明は、イエス・キリストとして説明できるのです。大工のイエスとキリストのイエスと、二つの人格が一つの人間の中にあったのです。どちらからでも説明ができるのです。

　イエスがいなければ、人間の存在が説明できないのです。釈迦も、ソクラテスも、アリストテレス、マホメット、孔子も老子も、人間存在の正しい説明ができていないのです。

　どんな立派な知者、学者も、人間とは何かという説明ができていないのです。これが人間の大欠点です。マホメットも説明できないのです。マホメットは地上における人間生活の幸福についてだけ説明しているのです。イスラム教というのはそういう宗教なのです。

　アラーアクバル、神様は偉大だと言うのです。神の説明はできますが、人間の説明はできないのです。

　キリスト教は神の説明もしていないのです。カトリックはマリアの説明だけしかできないのです。プロテスタントはキリスト教の教義の説明だけしかできないのです。信仰によって救われるという理屈だけ言っているのです。これは嘘を述べているのです。

　人間存在の説明を誰もしていないのです。イエスを正しく勉強したらできるのです。イエスの勉強をしないと人間とは何かが説明できないのです。

　人間とは何かと言いますと、言(ことば)が肉となったものです。これはイエスという実物がいるから説明できるのです。イエスという実物がいないと説明ができないのです。

　仏教では、人間についてもたもたした説明しかできないのです。十二因縁とか四諦八正道とか、唯識三年俱舎八年と言って、十一年間もかかって勉強しても分からないのです。

　十二因縁、四諦八正道を勉強するだけでも三年もかかるのです。三年もかかって何の勉強をしているのかと言いますと、人間の説明を勉強しているのです。大乗起信論でももたもたと説明しているのです。結局人間が分からないのです。だらだらと理屈だけを述べているのです。

　イエスを見たら簡単に分かるのです。人間とは何か、言が肉となったのです。言は魂です。肉は肉体です。これが人間です。これしか説明のしようがないのです。

　言は実存在です。肉体は仮の存在です。言が肉となったのがイエスです。

　仮に生きている人間が仮にいるのです。これが分かった人は恵まれた人です。皆様の魂は実存在の人です。魂が霊ですが、ただの霊ではない。肉体を持っている霊です。言が肉となったのが魂です。これは人間かと言いますと、人間ではないのです。

　言が肉となったという本質はありますが、現世に生きてはいないのです。これが皆様の本体です。これは男も女もないのです。男も女も魂に還元されて一つになってしまうのです。そうして、全部女性になるのです。

　人間の霊魂は全部女性です。この世に生きているということが、女であるということです。仮の存在であるということが、女としての存在であることを意味しているのです。

　女は結婚するために生きているのです。魂は結婚するために生きているのです。救われるというのは結婚することです。皆様はこれから結婚するのです。

　救われる。天国へ入るというのは結婚することです。死んでから天国へ行くというのは、大変な間違いです。生きているうちに、結婚の奥義が分からなかったらいけないのです。

　私たちはキリストの花嫁になるのです。これが人生の目的です。文明の目的は神の国を実現することです。人性の目的は結婚すること、キリストの花嫁になることです。世界にはこの二つの目的しかありません。

キリストの花嫁

　キリストの花嫁になる条件が一つあります。それは皆様の魂が神の種を一粒受け取ることです。マリアが種を受け取った。そこで、イエスが生まれたのです。これと同じ経験を皆様もして頂くのです。

　この意味で言いますと、マリアは全人類を代表しているということができるのです。この説明はカトリックでもできないのです。

　人間は全部マリアです。マリアにどうして子供ができたのかと言いますと、聖霊の言が形があるように働いたのです。ゴースト（ghost）的に働いたのです。聖霊は形がありませんが、ゴーストは形がある場合に使うのです。聖霊がゴーストのような働きをする場合があるのです。

　天地創造もそのとおりです。天地創造というのは、神の霊がゴーストになって現われているのです。花が咲いています。これがゴーストです。家も道路も、山も川もゴーストです。神の霊が目に見える状態で現われているのです。

　皆様がこの世に生まれたということは、ゴーストです。マリアに神の聖霊が言としてゴーストしたのです。神の言がマリアの魂に宿ったのです。魂に宿ったという事実が、肉体的な反応を生じたのです。実はこれがセックスの原点です。

　魂が肉体的な反応を生じるのです。これが本当のセックスです。魂に神の言が宿る時に、新しい命が生まれるのです。これがマリアに起こった処女降誕です。

　カトリックは受胎告知だ、秘儀だと言っていますが、秘儀でも何でもないのです。極めて当たり前のことです。神の奥義です。神の奥義は聖霊を受けたらすぐに分かるのです。

　マリアがイエスを孕んだのです。これは皆様がイエスを受胎することの雛形です。マリアが受胎したことが分かりますと、皆様自身も受胎することができるのです。

　大体、マリアは受胎するはずがない人です。夫がいないのですから、受胎するはずがないのです。皆様は男ですから、受胎するはずがないのです。百％ないのです。それが受胎するのです。

受胎しなければ救われないのです。新に生まれるのです。新に生まれなければだめです。田中さんが田中さんでいる場合には、絶対に地獄行きです。

　田中さんの運命を変えようと思うのでしたら、新に生まれるしかないのです。そうすると、田中さんが一個の魂になって、上から神の種（seed）を受けることができるのです。永遠の種、朽ちない種を受けるのです。これが田中さんの霊魂に留まるのです。

　ペテロは次のように述べています。

　「あなたがたが新に生まれたのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち神の変わることのない生ける御言(みことば)によったのである」（ペテロの第一の手紙1・23）。

　これを聖霊を受けると言うのです。仮に神の種を受けても全部出産するとは限らないのです。聖霊を受ける人はいるでしょう。たくさんとは言えませんが、いるのです。

　ところが、受胎してから生まれるまでが問題なのです。人間ならほとんど生まれるのですが、聖霊によって受胎しても流産する人が多いのです。完全なイエスとして生まれる人は、非常に少ないでしょう。

　受胎して十年もかかって生まれる人もありますし、一ヶ月で生まれる人もあるかもしれません。聖書の言葉が命としてその魂に刺さるのです。この経験がキリスト教ではできませんので、キリスト教は頼りがないとなるのです。

　キリスト教は頼りないのですが、聖書は頼りなくないのです。聖書は本当です。聖書は神の言です。聖書はキリスト教のテキストではないのです。聖書をキリスト教のテキストのように扱うのが間違っているのです。

　カトリックの公教要理はさらに焼き直しているので、全く間違っているのです。

　聖書を読むのは、神の言の白刃の矢が魂に刺さるように読むのです。これが正しい聖書の学び方です。ただ聖書の文字を勉強するのではないのです。

　こういう勉強の仕方をしている人は、世界中何処にもありません。私たちのグループだけしかないのです。キリスト教の指導者はこういう勉強の仕方をさせません。そういう経験をしている牧師がいませんから、そういう指導ができないのです。

　こういう経験をした人が本当にいますと、宗教団体にいられなくなるのです。宗教は嘘だと言うに決まっているからです。イエスが言ったように言うに決まっているのです。

　イエスは宗教は嘘だとはっきり言いました。本当の神が分かってきたら、キリスト教を蹴飛ばすに決まっているのです。キリスト教を蹴飛ばさずに、キリスト教で食べている人々は皆偽善者です。偽のクリスチャンです。

　皆様は聖書を学んで女性であることを悟って頂きたいのです。キリストと結婚しなければならないことを悟るのです。神によって結婚させられると、死なない命がはっきり分かるのです。

今まで生きていた自分は仮存在であって、本当の実存在はキリストの嫁になる魂であったとなるのです。イエスが復活したということを勉強しないと、こういうことが分からないのです。

　神の言が命になって人間の魂に宿るのです。人間の魂は女体であって、神の卵子のようなものです。卵子でも本当に精子を宿している子供を産むというのは、たくさんいないでしょう。めったにないのです。それくらい難しいテーマを、こんなに分かりやすくお話しているのです。

　イエスもこのように話したでしょう。イエスの言葉使いは田舎人間の話し方をしていたのです。山上の垂訓などは非常に庶民的な話し方をしていたのです。神をアバ父と呼んだのです。わしのおとっつあんと言っていたのです。こういう言い方をしたので、ユダヤ教のラビや律法学者が神を冒涜したと言って、ひどい嫌われ方をしたのです。とうとう掴まえられて殺されたのです。

　イエスは仮存在とも実存在とも、どちらでもとれる存在でした。皆様がもしキリストの花嫁になれるような幸いなお方であるとしたら、私のお話しすることがそのまま了承頂けると思います。

　六千年の人間歴史の中で、本当に死を破って復活したのは、イエス一人だけです。イエスが実行した方法しか死を破る方法はないのです。

　イエスの言葉にはあらゆる宗教、あらゆる学問のエッセンスが全部入っているのです。イエスが分かりますと、どんな学問でも分かるのです。どんな宗教でもどんな哲学でも分かるのです。

　魂の素直さを自覚したら、私が言うことがよく分かると思います。魂としての自覚がない方は、なかなか分からないと思われるのです。

　皆様は人間としてこの世に長い間生きていたのです。その生き方が間違っていたのです。人間としての記憶は全部罪の記憶です。原罪の記憶です。妄念の記憶です。その記憶が皆様方を地獄へ引っぱって行くのです。

　皆様の記憶が皆様を地獄へ持っていくのです。聖書に、「人間の記憶は人間の記録である」と言っています（ヨハネの黙示録20・12）。

　この世の中には諸々の文がたくさんあるのです。人間が生きていた数だけの文があるのです。皆様が今まで五十年、六十年生きていたのは、文を書いていたのです。自分の生活記憶が自分の生活記録になっているのです。これが地獄へ引っぱって行くのです。皆様の記憶ですから、皆書いてあるのです。忘れてしまったことまで書いてあるのです。この記憶が地獄へ引っぱって行くのです。

　皆様の記憶が皆様を訴えるのです。なぜそうなるかと言いますと、皆様は霊魂であることを知らずに、人間として生きていたからです。その間、六十年、七十年と魂はひどい目にあったのです。

　肉の人間が魂の上に乗って、魂を罵詈讒謗していたのです。魂をぼろくそに言っていたのです。魂はしばしばそれでは困りますと言ったのです。これが皆様の良心の声です。良心と理性が皆様の常識を大変批判したのですけれど、皆様の常識は頑としてやめなかったのです。

　人間は理性と良心を踏みつけて生きていたのです。これが罪です。皆様は罪の記憶をしこたま持っているのです。これは絶対にごまかせないことです。そこで、霊魂の裁きがあるのです。

　皆様は自分の記憶から抜け出して、魂であることを自覚して頂きたいのです。そうすると、今までの自分の記憶、思想に係わりなく、純真な感覚で見ることができるようになるのです。これを幼子と言うのです。

　イエスは誰でも幼子のようにならなければ神の国に入ることはできないと言っています。自分が魂であるということが自覚できますと、今までの記憶に関係がない人間になるのです。そうすると、イエスが信じられるのです。

　実はイエスが自分の本体であることが分かるのです。言が肉となったのはイエスのことを言っているのです。皆様の実体がイエスです。これを受け取るのです。救いはこれしかないのです。このことをよくご承知頂きたいのです。

（内容は梶原和義先生の著書引用）